生田みゆきさんがドイツの女性劇作家デーア・ローアーさんの2008年ミュールハイム戯曲賞受賞作を演出されます。翻訳は新野守広さんです。上演時間はカーテンコール込みで約2時間10分。
『最後の炎』は2009年にリーディング上演で初めて拝見し、2011年に戯曲を読みました(⇒戯曲概要)。初めて本格上演を拝見し、やはり素晴らしい戯曲だと思いました。設定も展開も刺激的で面白いし、言葉も鮮烈です。残酷で冷徹な視点があるからこそ、愚かな人間の本質を暴きつつ、不可思議でつかみどころがない人間の豊かさ、愛らしさも浮かび上がらせられるのだと思います。
文学座で「最後の炎」(面白かった!)観たら作家デーア・ローアーがドイツから来日するとかで、トーク情報入ってた…
5月20日→https://t.co/NxaPm4AOT8
5月23日には立教大学公開講演会もある模様— 川添史子 (@fumiko_kawazoe) 2018年4月16日
劇作家デーア・ローアーを迎えて 世界演劇講座《番外編》日時 5月28日(月)19時15分、料金無料、会場アイホール・カルチャールームB。世界中で翻訳されているローアー作品の魅力に迫ります。https://t.co/O3p4GeWKai
— 高安 美帆/Miho Takayasu (@mihvon) 2018年4月13日
≪作品紹介・あらすじ≫ 公式サイトより
誰もが目を背ける現代社会の現実を執拗に容赦なく描く、ドイツ現代演劇を代表する劇作家デーア・ローアー。過酷な苦しみとわずかな希望を抱えてもがく人々の” 生” を、独自の詩的で叙事的な言葉であぶり出す衝撃作。演出を手掛けるのは文学座で第2作目となる生田みゆき。昨年12 月のアトリエの会『鳩に水をやる』で、劇団「はえぎわ」のノゾエ征爾氏が書き下ろした奇妙な劇世界を軽妙かつ温かみある作品に仕上げた。デーア・ローアーの独自の文体と鋭い描写を舞台上にどのように立ちあげるのか、どうぞご期待ください。
<あらすじ>
紛争地域からの帰還兵がある町にやってきたところに、パトカーの追跡を振り切ろうと一台の自動車が猛スピードで通りかかった。たまたま道でサッカーをしていた子供が驚いて飛び出し、帰還兵の目の前でパトカーにはねられてしまう。
事故死した子の家族、パトカーを運転していた女性警官、追跡を振り切った後自宅にひきこもる青年、青年に車を貸していた元教師、自分の爪を削り続ける帰還兵…。ひとつの死によって人々の日常生活は静かに結びつく。
耐えきれない現実の痛みをやさしさで消し去ろうと絡み合う、無名の人々の愛の物語。
≪ここまで≫
流木のような細い木が一本立ってるだけのシンプルな舞台美術。床は盆になっていて回転します。舞台のほぼ四方を客席が囲み、通路の階段も演技スペースです。アトリエならではの空間は嬉しいですね。
戯曲の性質上、俳優が、自分が演じる役人物としてセリフを発することもあれば、そうでないこともあります。個人的には俳優が詩そのもの、光そのものとなるような瞬間がもっと欲しかったです。肉体的にも精神的にも、この世にあるありきたりのものではなくなるような、演技の挑戦をもっと観たかったですね。あと、これもまた個人的な好みなのですが、大きく張り上げる発声方法も苦手でした。
2009年5月に新国立劇場でローアーさんの戯曲『タトゥー』が岡田利規さんの演出で上演されました。「シアタートーク特別編」としてローアーさん、岡田さんらが登壇したトークの短いレポートを残しています。『最後の炎』を岡田さんの演出でも観てみたいな~。4/18(水)19:00の回の終演後に、岡田さんがトーク出演されます。
ここからネタバレします。
パトカーに追い上げられて猛スピードで車を走らせ、交通事故の原因をつくった青年オーラフの家の前で、虫(ノミ?)がわんさか出てくる場面があります。エトゥナ、カロリーネらが痒くて体を掻く動作がシンクロするのが面白かったです。こういう動きをもっと観たかったなぁと思いました。
ラーベが自分にガソリンをかけて火をつけるのが「最後の炎」。スザンネにとってはそれが「最初の炎」になります。
【出演】
ローズマリー(ルートヴィヒの母・アルツハイマーで記憶力が減退):倉野章子
エトゥナ(警官・少年を轢いた張本人):高橋紀恵
ラーベ(帰還兵・少年エドガーの交通事故の唯一の目撃者):大場泰正
ルートヴィヒ(不動産管理会社勤務・スザンネの夫・カロリーネと浮気中):松井工
スザンネ(8歳(だったかな)の息子エドガーを失った母・小学校の元音楽教師):鬼頭典子
カロリーネ(乳がんで乳房がない・元美術教師・スザンネの元同僚・ラーベに「最後の炎」の絵をプレゼント):上田桃子
ペーター(元不動産管理会社守衛・失業中):西岡野人
オーラフ(カロリーネの車を借りる・元フリークライマー・ペーターの友人):奥田一平
脚本:デーア・ローアー 訳:新野守広 演出:生田みゆき 美術/乘峯雅寛 照明/賀澤礼子 音響/藤田赤目 衣裳/伊藤早苗 舞台監督/黒木 仁 フライヤーデザイン/京 (kyo.designworks) 制作/後藤久美子 佐藤竜太郎 鈴木美幸 制作補/梶原優
【発売日】2018/03/14
【全席指定・税込】未就学児のご入場はご遠慮ください。
文学座のチケット専用ダイヤルからも電話予約できます。(0120-481034)
一般(前売):4,300円
一般(当日):4,600円
※当日券は開演の3時間前より、03-3353-3566 (文学座当日券申込専用) でご予約を承ります。
ユースチケット(25歳以下):2,500円※取扱は文学座のみ
http://www.bungakuza.com/saigonohono/index.html
http://stage.corich.jp/stage/90169
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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