『ストリッパー物語』『狂人なおもて往生をとぐ』『書を捨てよ町へ出よう』『あの大鴉、さえも』に続く、東京芸術劇場RooTSシリーズの第5弾です。福原光則さんが唐十郎さん作『秘密の花園』を演出し、出演されます。1/16夜の上演時間は約2時間40分弱、途中休憩15分を含む。
パンフレットによると『秘密の花園』は、1982年11月の本多劇場杮落とし公演のために書き下ろされた戯曲です。ここでしか観られない、体験できない、お芝居になっていました! 水が、水が!(笑)…そして水だけじゃなかった!!
「秘密の花園」開幕! 作者の唐十郎さんもお見えになり、素晴らしい初日となりました。生の舞台の醍醐味をこれでもかと体感できる、めくるめく世界・・・新たな傑作の誕生です!2月4日(日)まで 東京芸術劇場シアターイーストにて。演出・出演:福原充則 舞台写真:田中亜紀https://t.co/RlO1AaZQHd pic.twitter.com/IpHvtbwjuS
— 東京芸術劇場 (@geigeki_info) 2018年1月13日
≪あらすじ≫ 公式サイトより
日暮里にある古びたアパートの一室。この部屋に暮らすのはキャバレーホステス、いちよ(寺島しのぶ)とポン引きの夫、大貫(田口トモロヲ)。この二人のところに店の客であったアキヨシ(柄本佑)はもう2年もの間、毎月自分の給料を何の見返りも求めずに届けている。そんなアキヨシにいちよはよく「生まれる前の港で、契りを交わした」というメルヘン話を語り聞かせていた。ある日、アキヨシはいちよに実は自分には縁談話があり、関西に転勤しなければならないと切り出す。憤慨するも「お幸せにね」と明るく振舞いその場を離れたいちよであったが、その後共同トイレでアキヨシが見たものは首を吊った、いちよの姿だった。その時、動揺するアキヨシの前にいちよと瓜二つのアキヨシの姉・もろは(寺島しのぶ)が現れる。いちよとアキヨシ、もろはの三者三様の思いが絡み合い新たな物語が紡ぎ出されていく…。
≪ここまで≫
劇中の単語や音楽が記憶にあるものだったので、自分はあの時期の日本を知っている世代なのだなと、あらためて確認し、幼少の頃を思い出しながら観ることになりました。丸いちゃぶ台、家の外にあるご不浄(便所)、銭湯の菖蒲湯…。庭劇団ペニノ『地獄谷温泉 無明ノ宿』に登場した“サンスケ(銭湯で客の体を洗う人)”もセリフに出てきましたね。
いびつで濃厚な人間関係が当たり前のように描かれ、唐突かつ劇的に物語が展開します。仕掛けに驚かされ、呆気に取られていたら、まだまだ先があったり(笑)。「わー!どうしよー!」とどぎまぎしていたら、拍子抜けするほどあっさり終わったり。“アングラが苦手”な私ですが、楽しみつつ、考えつつ、充実した時間を過ごすことが出来ました。
年を取ってようやく(?)、あの空気を客観視できるようになったのかも…。いや、今回の上演がべったり、どっぷりと作品世界に耽溺するのではなく、冷静に距離を取っていたから、一緒に旅が出来たのかもしれません。もちろん戯曲と作家への敬意は感じられましたし、福原さんはひたすら唐さんの世界がお好きなんだなぁと思いました。
かじか役の玉置玲央さんの全方位へのエネルギーの発し方は、過去の上演に近いものなんじゃないかなと予想しました(私は実際に観ていないのでわかりませんが)。玉置さんが登場する度に楽しかった~♪
舞台美術(稲田美智子)は“古びたアパートの一室”ですが、汽車が走るトンネルの先にある秘境、または誰も足を踏み入れることができない心の中(=秘密の花園)を思わせました。
寺島しのぶ、柄本佑、田口トモロヲの奇妙な三角関係 唐十郎作『秘密の花園』 https://t.co/jpHETkY650 @CINRANETより
— 東京芸術劇場 (@geigeki_info) 2018年1月11日
【秘密の花園】演劇最強論-ingに福原さん、玉置さん、川面さんのインタビュー記事掲載!#東京芸術劇場 https://t.co/Xhz23KTvfOhttps://t.co/RlO1AaZQHd pic.twitter.com/D9mghdx0aM
— 東京芸術劇場 (@geigeki_info) 2018年1月4日
本日(1月4日)朝日新聞夕刊に、東京芸術劇場“RooTS シリーズ”「秘密の花園」に出演される田口トモロヲさんのインタビューが掲載されています。https://t.co/NJM6dO7Imq https://t.co/RlO1AaZQHd
— 東京芸術劇場 (@geigeki_info) 2018年1月4日
アイデアニュースに、#東京芸術劇場“RooTS シリーズ”「秘密の花園」に出演される玉置玲央さんのインタビュー掲載!https://t.co/KbEUwoMhZd https://t.co/WJNjClOmwV https://t.co/RlO1AaZQHd
— 東京芸術劇場 (@geigeki_info) 2018年1月9日
ここからネタバレします。
いちよ(寺島しのぶ)ともろは(寺島しのぶ)が何度も入れ替わり、アキヨシ(柄本佑)は翻弄されます。男性が恋人のように慕う女性(いちよ&もろは)は、娼婦(ホステスですが)、姉、そして母の印象を重ね持っているようでした。男女は今も昔も変わらずそういうものだなと思います。もろは(?)が自分を僕と言い、呼応するようにアキヨシがアチキと言い出して、性差が逆転することで、世界がより深まり、広がった気がしました。
玉置さんのように、他の俳優さんももっと客席に向かってアピールして(ネタ披露とかではありません)、熱く燃えて、飛び出してしまっていいのではないかと思ったんですが、それは素人の浅知恵だったかもしれません。私の場合は熱して冷めるの繰り返しだと、引いてしまったでしょうし、比較的静かに、とつとつと言葉を発する人が多かったから、じっくりと楽しむことができたのだろうと思います。
岩崎宏美さんの「すみれ色の涙」の歌詞が作品にぴったりなんですね。オンタイムで聴いていました。
RooTS Vol.05
出演:寺島しのぶ、柄本佑、玉置玲央、川面千晶、三土幸敏、和田瑠子、池田鉄洋、田口トモロヲ
脚本:唐十郎
演出:福原充則
美術:稲田美智子
照明:斎藤真一郎
音響:高塩顕
衣装:髙木阿友子
ヘアメイク:大宝みゆき
演出助手:相田剛志
劇中歌作曲:田山雅充
企画協力;劇団唐組 徳永京子 渡辺弘
企画制作:東京芸術劇場
【発売日】2017/10/21
【全席指定・税込】
一般 6,500円
65歳以上 5,500円
25歳以下 3,000円
高校生以下 1,000円
※未就学児はご入場いただけません。
※65歳以上、25歳以下、高校生以下割引チケットは劇場ボックスオフィスにて前売のみ取扱い。(枚数限定、要証明書)
※障害をお持ちの方:割引料金にてご観劇いただけます。詳しくは、劇場ボックスオフィスまで。(要事前予約)
※演出の都合上、客席前方のお客様は水しぶきがかかる可能性がございます。
※公演情報等につきましては、変更が生じる場合がございますので、予めご了承ください。
http://www.geigeki.jp/performance/theater153/
http://stage.corich.jp/stage/87903
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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