東京芸術劇場『オセロー』11/03-05東京芸術劇場プレイハウス

 今月のメルマガでお薦めNo.1としてご紹介していた、イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出、トネールグループ・アムステルダム(オランダの劇団)出演の『オセロー』初日に伺いました~♪ 上演時間は約2時間40分(休憩20分を含む)。

 2009年に『じゃじゃ馬ならし』でショックを受け、2014年の仏アヴィニョン演劇祭で『水源 THE FOUNTAINHEAD』に大興奮。ナショナル・シアター・ライヴ『橋からの眺め』でさらに大ファンになって、先日はNHKで放映されたオペラ『サロメ』も拝見。

 『オセロー』は予想通りスタイリッシュで、俳優の演技もスタッフワークも、堂々たる“これ見よがし”な演出が面白い!歌舞伎のようだとも思いました。

 私とうとう、生のホーヴェさんを目撃できました!(←ミーハー) 世界で引っ張りだこのオランダの演出家の、今回の日本滞在時間は12時間程度だそうです…!

 チケット代:S席6,000円 A席4,500円 高校生以下1,000円 25歳以下(A)3,000円 65歳以上(S)5,000円 ……高校生以下は1000円!!

 残すは11/4(土)13時、11/5(日)13時の2ステージのみです。どうぞお見逃しなく!!!

 終演後にホーヴェさんのミニ会見が行われました。

■イヴォ・ヴァン・ホーヴェ氏を迎えたミニ会見 
 ※私がメモできた程度ですので間違いはあると思います。すみません。速報として掲載します!

ホーヴェ:日本にコンテナが届くのが遅れて時間がすごく足りなかったところ、劇団のスタッフも東京芸術劇場のスタッフも、この作品のために本当に献身的に動いてくださいました。本当にありがとうございました。私たちはオランダだけでなく世界で活動すると掲げ、10年間やってきました。次はソウルにも行きます。

質問:『オセロー』の初演は2003年。イラク戦争があった時期ですね。
ホーヴェ:もちろんその影響はありましたが、残念ながら戦争は今も起こっています。

質問:空間演出に興味がわきました。
ホーヴェ:36年間、ともに創作している美術家がいて、ベースのデザインは彼が手掛けます。“イヴォ・ヴァン・ホーヴェ”は私だけじゃなく、他のスタッフも含めたチームなのです。私は代表者であるだけ。
 私は空間に敏感で、テキストだけでなく身体もその素材です。ある空間に誰がやってきて、何をして、どのように去るのか。それを見ています。たとえば今、この状況も。私と通訳を多くの人が覗き込んでいて、真剣に耳を傾けている人もいれば、既に知ってる話をゆったりと聴いている人もいる(笑)。外側から見たらすごく面白いはずです(と言いながら、スマホで記者たちを撮影)

質問:ナショナル・シアター・ライヴで上映された『橋からの眺め』も印象的な空間でした。
ホーヴェ:1950年代のブルックリンを再現するのではなく、テキストを表すのにベストな方法を探しました。戯曲の時代の舞台設定で博物館的な芝居にはしたくない。『橋からの眺め』は劇作家アーサー・ミラーの実の娘が観に来てくれて、「もし父が観ていたらとても気に入ったと思う」という最高の褒め言葉をもらいました。

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ホーヴェ:今回はとてもシンプルな空間でしたが、明日、ロンドンでプレビューが開幕する新作『Network』は、1970年代の映画が元になっていて、テレビやニュースなどのメディアが題材。ブライアン・クランストンというハリウッド・スターが出演することもあり、劇場も大きくて、とても複雑なものです。だから私のスタイルはひとつではありません。

質問:あなたは演劇だけじゃなく、ミュージカルやオペラも手掛けられています。どのジャンルが一番お好みですか?
ホーヴェ:それが、どれも好きだから悩みどころです。オペラだと昨年は『サロメ』をやりましたし、次は『ドン・ジョヴァンニ』も。オペラは1年か1年半に1度のペースです。私は音楽を愛しています。音楽が好きではない人はオペラを演出してはいけないと思う。

ホーヴェ:なぜ舞台を作っているのか。ある種の自叙伝というか、舞台は私自身を、自分の考えや気持ちを表現できる最良の手段だから。もっと楽な職業を選べたらよかったんだけど(笑)。

ホーヴェ:世界の誰もがやりたかったことだと思うのですが、デヴィッド・ボウイと仕事をさせていただきました。彼は生前から伝説(レジェンド)だったし、私にとってもアイドルだった。でも彼は1人のアーティストとして自分を選んでくれたのだから、ファンとしてではなく、アーティストとして臨みました。

質問:古典戯曲を翻訳し、現代の芝居にされています。その意義について。
ホーヴェ:とても重要だと思います。原作のオセローはアレッポ出身だけれど、北アフリカ出身に変えました。オセローは北アフリカからヴェニスに行ったという設定です。日本語では伝わらないかもしれないのが残念ですが、美しくて真実味のあるオランダ語訳になっています。
 シェイクスピアは今から400年以上前の劇作家です。その時代よりもずっと古い題材を戯曲にし、その当時、世界で起こっていることを舞台に載せていた。だから私がやっていることも彼と同じです。

ホーヴェ:2014年にシェイクスピアの『ヘンリー五世』『ヘンリー六世』『リチャード三世』をまとめて4時間ほどにした『Kings of War』という舞台を上演しました。その時期にビジネスマンだったトランプ氏が米国大統領になったため、私自身が非常に高く評価されてしまったんです。(自分がトランプ氏と『リチャード三世』を重ねたわけではなく)たまたま時期が重なっただけなのに。そこがシェイクスピアの天才的なところ。日本でも上演したいですね。

質問:ウィーンで『Kings of War』を拝見しました。女性がとても力強かったのですが、今回の『オセロー』はそうではないようです。
ホーヴェ:意見が異なることになるのですが。デズデモーナはオセローを本当に愛していた。彼女は父の反対を押し切って、自分の意志で外国人と結婚したのです。彼女はとても強い女性。箱入り娘ではない。今回は軍隊が舞台で男性中心の世界であり、それがマイナスのエネルギーを発している。真実の愛が、外部からの邪悪な力(=イアーゴー)によって壊されるという物語です。

 ※『水源 THE FOUNTAINHEAD』↓が11月末からニューヨークで上演されます。

■その他

出演:トネールグループ・アムステルダム(オランダの劇団 Toneerlgroep Amsterdam)
【配役】
ビアンカ:アンネークリス・スフルティング(Anne-Chris Schulting)
ブラバンショー、ロドヴィーコー:アウス・フレイデイナス・ジュニア(Aus Greidanus Jr.)
オセロー:ハンス・ケスティング(Hans Kesting)
ロダリーゴー:ハルム・デュコ・スヒュッツ(Harm Duco Schut)
デズデモーナ:ヘレーヌ・デヴォス(Helene Devos)
エミリア:ハリナ・ライン(Halina Reijn)
キャシオー:ロベルト・デ・ホーフ(Robert de Hoog)
イアーゴー:ルーラント・フェルンハウツ(Roeland Fernhout)
脚本:W・シェイクスピア 演出:イヴォ・ヴァン・ホーヴェ(Ivo Van Hove)
美術・照明デザイン:ヤン・ヴァースウェイヴェルド(Jan Versweyveld)
オランダ語訳:ハフィッド・ブアッザ
ドラマトゥルク:ブラム・デ・スッテル
音響デザイン:マルク・ミュールマンス
衣装:アン・デュハウス
制作:トネールグループ・アムステルダム
・日本公演スタッフ
プロダクションマネージャー:關秀哉
舞台監督:山口英峰
通訳:角田美知代、石井園子
字幕翻訳:角田美知代
広報:今村麻子
制作アシスタント:目澤芙裕子
制作協力:奥山緑
宣伝美術:柳沼博雅(GOAT)
法務アドバイザー:福井健策 岡本健太郎(骨董通り法律事務所)
S席6,000円 A席4,500円
高校生以下1,000円 25歳以下(A)3,000円 65歳以上(S)5,000円
※未就学児はご入場いただけません。
http://www.geigeki.jp/performance/theater150/

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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