谷賢一さんの新作『人類史』がKAAT神奈川芸術劇場・ホールで上演されています。谷さんはユヴァル・ノア・ハラリ著「サピエンス全史」に触発されてこの戯曲を書いたとのこと(私は未読です)。上演時間は約2時間45分(途中休憩20分を含む)。当日パンフレットが無料配布されました。
劇場ロビーで戯曲本も販売されています。
今日も小屋入り。『人類史』会場先行販売の書籍、今日の分40冊サイン終了。1冊1冊丁寧に書き入れております。自分の買ったやつが雑なサインだったら嫌だもんね……。本番もあと3ステで終わり。明日はパンパンで当日券も出ないかも、なので、今日オススメです。 pic.twitter.com/Mva2hbynuD
— 谷賢一 (@playnote) November 1, 2020
トレイラー↓
≪あらすじ≫ https://www.kaat.jp/d/jinruishi
人類200万年の歴史を一挙に駆け抜ける!
二足歩行、言語の獲得、コミュニケーションによる表現の進化
科学革命による圧倒的な進化を遂げてなお、人類の未来は発展し続ける
今から約200万年前。まだサルの一種に過ぎなかった人間は、肉食動物に追い回され、両手両足を使って地べたを這い回り、木の実や虫を食べて暮らしていた。それがあるとき二足歩行を始めたことで道具・言語・火などを手に入れ、またたく間に文明を開花させ動物界の頂点に立つ。やがて高度な社会を形成し、ついには科学の力によって宇宙の仕組みにまで到達することになるが、その驚異の発展を支えたのは「想像力」、見えないものを見る力だった・・・・。
物語は、数万年単位で時間を跳躍しながら進んでいき、どの時代・どの場所にも何故か同じ顔・姿をした「若い男」「若い女」「老人」が登場する。それらは遠い先祖・子孫の関係のようにも見えるし、生まれ変わりのようにも見える。同じ顔・姿をしたこの三者を中心に200万年の人類史を駆け抜ける!
≪ここまで≫
超久しぶりに電車で遠出。マスク率100%。凄いな東京に暮らす人たち。慎重だ。横浜スタジアム満席は難しいね。やっぱり検査と保護(隔離と補償)の徹底が必要。陰性とわかれば、そして陽性になると保護してもらえる確証があれば、積極的に外出して活動できる。既にそんな国があることも広まって欲しい。
— 高野しのぶ🌹(しのぶの演劇レビュー) (@shinorev) October 31, 2020
振り返ってみると、劇場での観劇は約3か月半ぶり…!おのぼりさん気分でKAATへ。やっぱりかっこいいわー…劇場前に並ぶポスターは『人類史』『星の王子さま』『knife』『オレステスとピュラデス』…全部観たい…。
日本大通り駅のなかに『星の王子さま』のポスターがあって、写真を撮ってしまった…ポスターのデザインも、ひびのこづえさんの衣装も素敵…♪
劇場に入ってアルコールで手指消毒した後、LINEで来場者登録するスペースへ(紙に記入するのもOK)。長机が並び、スタッフさん数名が操作説明をしてくださいます。消毒作業だけでも大変なのに、こんなことまで…。観客を入れて舞台の上演をすることのハードルが高すぎます…。関係者の皆様、本当にありがとうございます!
客席は1席ごとに空席があるので、半減以下になってそうですね。上演中もマスク着用です。カフェ営業がないのも寂しいな…普段からあまり利用するタイプの観客ではなかったんですが(ごめんなさい)、あの雰囲気もとても大事だったんだな…。
ここからネタバレします。セリフなどは正確ではありません。
≪内容メモ≫
舞台後方を丸く囲む半円形の巨大スクリーンに映像が映される。スクリーンは吊られていて上下(じょうげ)に移動し、スクリーンの下から俳優が這って登場したりする。字幕あり。長い時間の経過を星の移動の軌跡で表現。星空は全編をつなぐ要素。
長い目の暗転から開幕。200万年前の人類は100万の生と死を繰り返す。7万年前に言葉が生まれ、集団での狩猟生活で動物(猛牛など)に勝利。祭事、舞踊、絵画などが花開く。1万年前から農耕が始まり貧富の差が生まれる。国王(山路和弘)の横暴に異を唱えた奴隷は舌を切られ処刑。奴隷と王女(東出昌大と昆夏美)は100万年前、7万年前にもいた一組の男女の生まれ変わりのよう。「(奴隷の)舌を切っても血を滴らすな」という王女のセリフはシェイクスピア作「ヴェニスの商人」からの引用。
休憩中にマイナス(紀元前)400年まで字幕が進み、二幕が始まるといきなり17世紀(1616年)。スクリーンの前方に大きな額縁が登場。上下(かみしも)に幕があり、後ほど披露される劇中劇にぴったり。この場面全体が「劇」である構造とも受け取れる。舞台はヴェネツィアの宿屋兼居酒屋。父(歴史学者オーラン?)が「光あれ」からはじまる聖書を読み、その子供たち(姉と弟)が耳を傾ける。弟(名児耶ゆり)は天体に興味があり、星の運行がみな同様でないことに気付いている。母(小山萌子)が夜遅くに訪れたガリレオ(山路和弘)とその弟子(村岡哲至)を泊めてやる。
翌日は復活祭。ガリレオに会うために数学者の男性2人(奴隷と王女の生まれ変わり)がやってきた。片方は女性であることを隠している(モデルはソフィ・ジェルマン?)。村人たちはキリストが復活する劇を上演。生活と信仰が深く結びついている。大航海時代らしく、船への投資話などで盛り上がるなか、突然、ペスト発生が判明。人々はおびえ、「悪行が災厄を呼び寄せたのだ」と吹聴する“善良な”女性(奥村佳恵)や神父(福原冠)に煽られて、娼婦(大久保眞希)を追放する。ガリレオも追い出されそうになるが、星が好きな少年(弟)に望遠鏡を覗かせてやることができた。純粋な好奇心が未来への橋渡しとなる。
数学者2人が数式で宇宙を、地球上の現象を、記述していく。スクリーンに映し出される多くの数式が、第一幕の象形文字や壁画を思い起こさせる。下手端の男性が(聖書のような)本を開いて読み上げていくのは、17世紀以降に人類が起こした主な出来事の羅列だ。衣装を素早く変えながら、ひとつずつを簡潔に演じていく。地動説、万有引力の発見、産業革命、原子爆弾の投下、女性参政権、ロックンロール、チェルノブイリの原発爆発、福島の原発爆発、Windows95、AI、新型コロナウイルス…そして2050年まで。男性数学者が本を閉じ、暗転して終幕。
【公演レポート】谷賢一の“最高傑作”、東出昌大・昆夏美・山路和弘ら出演「人類史」開幕(コメントあり)https://t.co/HWfSEZ2hUI pic.twitter.com/Ll2P3SGMKl
— ステージナタリー (@stage_natalie) October 24, 2020
≪感想≫
身体表現で百万年単位の人類の進化を描いた第一幕が楽しかったです(振付:エラ・ホチルド)。似た衣装を着た群舞からでも、出演者それぞれの個性が見えてきます。第二幕は物語の進行を面白く拝見したものの、私にとっては長いセリフで説明することが少し多すぎたかも。とはいえ深く考えることができました。細かいですが「聖書にはアメリカ大陸のことは書かれていない」という指摘にはハっとさせられました。
国王に刃向かった奴隷は舌を切られ、地動説を唱えたガリレオは宗教裁判にかけられ自由を奪われました。どの時代も行き過ぎた権力は邪魔者を黙らせようとしますね。抗っていきたいです。
教会が天動説を覆せないのは、過ちを認めることができない“無謬病(むびゅうびょう)”とも言えますよね。人間が安定、安心を求めるのは生物としておそらく正常で、大人になると「変わりたくない」「自分の好きなようにしたい」「今まで通りの生活をしたい」と思いがちです。でも自分を守るために頑なになることは、“無謬病”と直結しているとも思います。自分にとって心地よい状態を疑っていくために、貪欲さや好奇心を持っていたいですね。
そして、ハンセン病に関わった医師達や厚生省の振る舞いや無らい県運動も若者は調べたほうが良いです。
ハンセン病患者の強制隔離に反対した小笠原医師に対する当時の絶対的権威からの攻撃にPCR抑制論者が重なります。
共通する症状は、無謬病、つまり、自分の過ちをなかなか認めないところです。 https://t.co/VEcxRz25cx— 宗宮誠祐(SOHMIYA seiyu)岩場大好き (@jiyujin_nagoya) October 29, 2020
『人類史』を描くにあたり、ガリレオの時代を取り上げたことが凄いと思いました。宗教、差別、疫病、科学といった大きなテーマがまとまっています。第二幕の終盤がものすごい駆け足になるのは、科学の進化のスピードからすると当然なのでしょうね。ミュージカル『太平洋序曲』(宮本亜門演出版)を思い出しました。そういえば同じ劇場ですね~。
女性数学者役を演じる時の昆夏美さんの愛らしさは、(ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの舞台に出演される時の)犬山イヌ子さんに似ている気がしました。星を観察する少年役の名児耶ゆりさんも可愛いかったですね。どちらかというと名児耶さんは、第一幕の方が私好みだったかも。ガリレオの弟子役の村岡哲史さんのセリフが明晰で意味もわかりやすかったです。観客に対して積極的に開いている柔軟な感じも好きですね。
コロナのロックダウン生活中にジャレド・ダイヤモンド著「銃・病原菌・鉄」(上下巻)を読んだので、第一幕の終盤(植物の家畜化、1万年前あたり)は咀嚼しやすかったですね。
時を超える男女の愛といえば、私にとっては里中満智子さんの漫画「海のオーロラ」。小学生のころに繰り返し読んだ大好きな漫画です。幼少期から思春期に、里中さんの歴史ものの少女漫画に親しんだことは私の財産になっています。
さんざん罵倒され公開処刑状態にされた娼婦(大久保眞希)が追放間際に、自分を買った男たちを名指ししていくのは胸がすきます。ラース・フォン・トリアー監督の映画「ドッグヴィル」を思い出しました。ただ、せリフはほんの少々、間(ま)を取り過ぎな感じがしました。その場の村人たちを糾弾するだけでなく、女性性を代表して世界に対して訴えるような強度も欲しかった気がします。改めて振り返ると、この戯曲はそういうセリフが多いんですね。“人類”を自身の身体と声に宿すと考えると、俳優にとって難易度の高い戯曲なのだろうと思います。
■感想ツイートの転載など
今日は俳優スタッフに早入りしてもらい、まさかの稽古&直し。前の本番見ていたら新たなアイディア、より良くする一手を思い付いてしまったのだ。微々たる変更だが大いなる意味があるはず。毎日アップデートする気持ちでいないと逆に毎日ダウングレードしていってしまうのが舞台だ。『人類史』。
— 谷賢一 (@playnote) October 31, 2020
「人類史」。自分でお金を払って観に行った初めての演劇だった。2回観に行った。そして今から買った台本を読む。打ち震えてる。これからのぼくの人生に楔を打たれた。目の前の長い道のりに道標が立った。そしてこれを完成させるのはぼくだ。自分でも訳がわからないままにいま人類が知りたい。
— FLYorDIE (@OdotteGreenSky) October 31, 2020
故・井上ひさし先生は、どんな舞台でも客席に1人、必ず初めて演劇を観る人がいると思って、1つ1つのステージに絶対手を抜いてはいけない……というようなことを仰っていた。今日の『人類史』にもそんな方がいたようだ。明日も全力で頑張ろう。 https://t.co/NxiAPURJwf
— 谷賢一 (@playnote) October 31, 2020
ミュージカル好きの中の人です。先日 #人類史 を観劇してきました。「サピエンス全史」に着想を得て作られたというこの舞台、とても面白かったです。一応「印刷」という言葉もありました…2幕冒頭父親が子どもに人類の歴史を語る場面で、「火薬・印刷・羅針盤」とルネサンス3大発明が出てきました。 pic.twitter.com/TLdXqy5vB0
— 印刷博物館 PrintingMuseum (@PrintingMuseumT) October 31, 2020
【ドレスマグ最新号】特集は絶賛上演中の『人類史』について、作・演出の谷賢一に私がインタビュー。
上演期間中の今こそ読んでいただきたい、熱のこもったテキストになりました。
他、私のコラム『本と音』はハイロウズ追記/付録ラジオ/編集室も更新。https://t.co/kehIdRkpEF pic.twitter.com/HBxzooCFQB
— 志磨遼平(ドレスコーズ) (@thedresscodes) November 1, 2020
セリフのある舞台に出演しているダンサーの演技や声に惹きつけられることが増えた。『人類史』では、植田崇幸さん、内藤治水さんの演技に驚いたし、名児耶ゆりさんの声に魅了された。
演劇関係者と話すに、癖がついた俳優よりも未経験のダンサーが意外によいことも多いとのこと。
きっと逆もしかり。— 唐津絵理 (@eri_karatsu) November 1, 2020
ロングラン公演、お疲れ様です。
俳優でもあることは知っていましたが、嫌らしい(笑)奴隷役の存在感、圧巻でした。第一部は灯りも暗くて、前屈みの原始人が沢山出現して個別判別困難だったこともあり、ダンスより一層、第二部の演技が際立ちました。最後まで気をつけて、頑張って下さい! https://t.co/zwFLNRXN8V— 唐津絵理 (@eri_karatsu) November 1, 2020
本当にダンサーと俳優が良い感じで入り混じっていたのが功を奏したように思いました。主役と脇役やコロスなどの出演者間のヒエラルキーもあまり感じられず、特に第一部での認知革命時代のフラット感が第二部でも出演者の有り様に還元されていたのも良かったです。
最後まで、気をつけて頑張って! https://t.co/4zdLzOmiyJ— 唐津絵理 (@eri_karatsu) November 1, 2020
↓2020/11/03加筆
『人類史』サピエンス全史を読まなくても充分に楽しめるけど、読んでいたらもっと楽しめた。
思っていた以上に第一部のエラの振付けたアンサンブルがクリスタル・パイトの振付にそっくりだったけど、そもそも個人より群衆心理を表現するに最適な振付なので、この場面ではよい効果をあげていたと思う。— 唐津絵理 (@eri_karatsu) November 1, 2020
KAATで『人類史』観劇。
名児耶ゆりは幼な子2人いてこれができるのかと衝撃だった。
もちろんゆりちゃんの魅力は母という属性だけに留まらないけれど、どうしたって自分のことだけを考えては生きられない中で、よくぞこのパフォーマンスを!と尊敬で涙でた。— さかもともも-Momo Sakamoto (@mmoommoos) November 2, 2020
出産を期に演劇から離れざるを得ない俳優が多いのは、育児の大変さやサポート体制が不十分なことに加えて、前例が少なく未就学児を育てながら舞台に立つ俳優の姿が、イメージできないからだと思う。
そんな人に届いたら、きっとめちゃくちゃ希望を感じるんじゃないかな、と思いながら観ました。— さかもともも-Momo Sakamoto (@mmoommoos) November 2, 2020
↓2020/11/04加筆
■公演終了直後の谷賢一さんのツイート
本日千秋楽。完璧なダブルコールを頂きました。客出し明かりがつきアナウンスが流れる中、拍手が止まず「やむなく」「予期せぬ出来事として」行われるダブルコール。予定調和のダブルは僕は嫌いなのだがこういうのは本当に嬉しい。見届けて下さった皆様、スタッフ、キャスト、ありがとう。『人類史』。 https://t.co/Jsg9pfm64t
— 谷賢一 (@playnote) November 3, 2020
『人類史』は私史上最高傑作だと思うが、百点は取れなかった。全然取れなかった。演劇は奥が深い。どこを直せば良くなるかはもうわかっているが、それを直すのには時間と場所、あと金が必要だ。集まって「せーの」から1ヶ月半で完成させなければならない日本では非常に難しい挑戦。でもまたやりたい。
— 谷賢一 (@playnote) November 3, 2020
僕は演劇を見るとき純粋に完成度や品質に対する採点の他に、野心の高さや鋭さを評価する。勇気だけが表現を前進させると知っているからだ。そういう意味で『人類史』は『福島三部作』を超える野心を抱いていたと言えるが、演技・ダンス・音楽その他すべてで百点を取らなければならない。大変な作品だ。
— 谷賢一 (@playnote) November 3, 2020
演出家の諸先輩方からは「一生かかっても百点なんか取れない」と言われている。取れたら終わり、逆に閉店だとも。多分そうなのだろう。だけど、僕は目指したい。愚かでも挑みたい、完璧な演劇、この世で最も美しい演劇、優れた音楽のような演劇。『人類史』よりさらに大きな風呂敷を広げよう、次は。
— 谷賢一 (@playnote) November 3, 2020
千秋楽のステージを観ながら、カットできるセリフを探していた。これも劇作家の諸先輩方から、切れるセリフはみんな切れ、迷ったら切れ、と言われている。愛着があって切りづらいセリフもあるが、千秋楽だと割と冷静に見れた。再演の際には是非大胆にカットしたい。本質は必ず残るので。『人類史』。
— 谷賢一 (@playnote) November 3, 2020
今回『人類史』で最も面白かったのは、演劇とダンス(身体表現)が近い比重で同居していた点だ。明らかにこれは面白かった。しかし同時に、演劇とダンスで同時に・常に百点を取り続けるのは非常に困難だった。千秋楽はかなり良かったが、まだ上があるのは知っている。それをやりたい。完璧を作りたい。
— 谷賢一 (@playnote) November 3, 2020
エラ・ホチルドの振付はスリリングかつ大胆ではありながら、非常に知性を感じる、哲学的なものだった。そして現場を知る私には、あれがどれだけ身体的に負荷のある、難しい振付であるかもわかっている。あれをこなすのは大変だったろう。だからその分観ていて意義深い時間だった。ずっと観ていられる。
— 谷賢一 (@playnote) November 3, 2020
こうして千秋楽を迎えると「再演希望」という声をたくさん頂くが、すみません、僕に言ってもらっても全く再演には繋がりません。僕だって手塩にかけた作品を再演したい。新作ばかり書けない。しかし僕は無力です。日本の劇場は、プロデューサーは、新作を欲する。本邦初演を欲する。僕らは無力です。
— 谷賢一 (@playnote) November 3, 2020
今回の台詞では、2幕の論争劇部分の評判がいいけれど、あれは私にとっては自家薬籠中、最も書き慣れたスタイルで、確かに筆に勢いがある。言葉の切れ味もいい。しかし個人的には1幕3場の変な呪文みたいな台詞とか、1幕4場の微妙にぎこいない翻訳文体とか気に入っている。「トンビの餌にせよ!」最高。
— 谷賢一 (@playnote) November 3, 2020
今回2幕のモチーフの一人にガリレオ・ガリレイを選んだが、あの人ちゃんと調べると面白い。「それでも地球は回っている」なんて言わなかった&ピサの斜塔の実験なんかしてなかった、というのが最新の研究。家が貧乏だったので金になる神学をやれと言われてたのに天文学に行っちゃった。あと実は詩人。
— 谷賢一 (@playnote) November 3, 2020
同じくモチーフにした科学史の巨人、アイザック・ニュートンも面白い。数学・物理学・天文学に通じていたのはまぁわかるとして、錬金術にどハマリしてたり、オカルト研究むっちゃしてたり、意外と「ヤバい」人だった。まぁそれくらい規格外の人だったから、万有引力なんて思いついたんだろうな……。
— 谷賢一 (@playnote) November 3, 2020
個人的に好きな台詞。「あらゆる差別が解消される、……のはどうやら2020年よりずっと未来」。好きと言うか、こんな台詞がまだ書けてしまう時代と思うと絶望する。奴隷的労働をしてる人は世界にまだ沢山いる、日本にもいる。女性差別はまだ減らない、日本は未だに女性閣僚すら殆ど居ない。ひどい話だ。
— 谷賢一 (@playnote) November 3, 2020
ガリレオの生きた時代はペストの時代でもあった。だから2幕にペストの話題が出てきて、コロナの今と通ずるのはある程度予想できた。しかし台本にガリレオを書いた後で、例の学術会議の問題が出てきたのには驚いた。異端尋問、吊し上げなんて400年前の問題が、現代と通じてしまうなんて。令和は中世か。
— 谷賢一 (@playnote) November 3, 2020
今回台本には「善良な市民ヴェロニカ」というとんでもなくやべえ人物が出て来ました。自分を善だと信じて疑わず、人を吊し上げまくるすごい人です。モデルは当然、現代の自粛警察と中世の異端尋問、あと『ミスト』という映画に出てくるご婦人。いつの時代も自分を正しいと信じている人が一番危ない。
— 谷賢一 (@playnote) November 3, 2020
そしてこれは、僕なんかが言うことではねえが、こういう無謀で危険で不確定な、しかし新しく、野蛮で、挑戦的な企画を通してくれ、支えてくれ、製作/制作してくれたKAATに感謝。神奈川県民はこの先鋭的な劇場を県の資産として持っていることを誇っていい。自慢していい。日本でも珍しい劇場なんだよ。
— 谷賢一 (@playnote) November 3, 2020
■再演について
新作主義は劇場やプロデューサーの希望よりも、助成金獲得のために新作が有利だという理由が大きいです。再演の方が完成度が高いのは明らか、リハーサルも短期間で効率よく観客にも良い作品を提供できるはず。再演にももっと助成していただけるように、事あるごとに文化庁や助成団体には提言しています https://t.co/m2Ga2NmgDk
— 唐津絵理 (@eri_karatsu) November 3, 2020
さらに付け加えると、公立文化施設は基本的に地方自治体が予算を捻出していることがほとんどなので、他の自治体がまだしていないこと=新作を求めがちと言う理由もあります。
地域のオリジナリティーを出すためにご当地の物語を使ったり、地元出身のアーティストを起用したりする作品が増えるわけです。— 唐津絵理 (@eri_karatsu) November 3, 2020
おっしゃる通りです。発表済みのすでに評価の定まった作品がツアーできるようになれば、初期投資の経費も回収できます。
ただ日本には自主事業を行えるほどの予算と事業を開催できる専門人材をもつ劇場が大変少ないという致命的な問題もあります。 https://t.co/wwRlpacbLU— 唐津絵理 (@eri_karatsu) November 3, 2020
僕には再演したい作品が山ほどあります。『モリー・スウィーニー』『最後の精神分析』『プルーフ/証明』『演劇』『テレーズとローラン』『福島三部作』『エブリ・ブリリアント・シング』『わたしは真悟』『プルートゥ』『デジモンアドベンチャー』他にもまだたくさん! 誰か、お願いします……。
— 谷賢一 (@playnote) November 3, 2020
はーい! 『プルーフ/証明』いつでも再演しますよー! どなたか、どこかのプロデューサーさま、劇場さん、やりませんか? あれは時代を超える名作です。私の理想の戯曲の一つでもありますねえ。出演者4人しかおらず、セットも一杯飾りで安いので、お買い得ですよ!! 僕以外の演出でも観たい! https://t.co/tHDNl6K5EI
— 谷賢一 (@playnote) November 3, 2020
劇場のプロダクションかカンパニー公演かによる相違もありますが、ひとつ精神的ハードルとなっているのが、劇場や芸術祭で新作を競うような傾向です。これは新作を作れる組織=文化予算予算を拠出でき優秀な専門人材を抱えている劇場や芸術祭、と判断されがちなため、そこを競う傾向にあるとも感じます https://t.co/znuGyaWSFw
— 唐津絵理 (@eri_karatsu) November 4, 2020
海外の最先端の劇場や芸術祭では新作や共同製作の数を争うことも通例ですが、舞台芸術が一般に浸透している西欧を追随しても矛盾が起こります。
日本で観客を増やし、プロ活動を行うための早道は良作を観てもらい、また来たいと思ってもらうこと。新作主義がその足を引っ張ってしまうこともありますね— 唐津絵理 (@eri_karatsu) November 4, 2020
新作創作を望むアーティストもいますし、プロデューサーや劇場にとっても新しい挑戦はやりがいのあるものですが、それが観客にとってベストとは限らない。それに気がついてからは、新作を作るにしても、できる限りレパートリーとして再演したり、ツアーできるようにと考えて企画しています。 https://t.co/rmhLy3bVLH
— 唐津絵理 (@eri_karatsu) November 4, 2020
私も自分の欲望から新作ばかりに拘っていた時期もありました。創作にはアーティストもプロデューサーも自己内発的な動機が必要ですが、一方で観客がいて初めて成立する世界です。自己表現の押し付けが、観客不在の状況に拍車をかけていく、
そこに舞台関係者はもっと自覚的であるべきだと思っています https://t.co/lih8S9Yzo5— 唐津絵理 (@eri_karatsu) November 4, 2020
助成も様々なタイプがあり、劇場、カンパニー、芸術祭、国際共同等、内容も様々ですので、再演でも可能な場合もあります。ただ行政の新規の予算要求では、新たなメニューの作成が必要となり、新規性や創造性が求められることが多いです
舞台芸術は、一過性の消えてしまう芸術と思われやすいかな…。 https://t.co/lsoR2k0J6N
— 唐津絵理 (@eri_karatsu) November 4, 2020
出演:東出昌大、昆夏美、山路和弘、秋葉陽司、浅沼圭、生島翔、植田崇幸、大久保眞希、奥村佳恵、栗朱音、小山萌子、谷本充弘、内藤治水、中林舞、名児耶ゆり、奈良坂潤紀、仁田晶凱、福原冠、村岡哲至
※出演者降板のお知らせ
本公演「人類史」に出演を予定しておりました栗朱音さんは、体調を崩し療養が必要となったため、降板することとなりました。(感染症ではございません。)
脚本・演出:谷賢一
音楽:志磨遼平(ドレスコーズ)
振付:エラ・ホチルド
美術:堀尾幸男
照明:齋藤茂男
音響:鹿野英之
映像:松澤延拓・新保瑛加
衣裳:堂本教子
ヘアメイク:谷口ユリエ
振付助手:皆川まゆむ
演出助手:渡邊千穂
舞台監督:横沢紅太郎
企画・制作:KAAT神奈川芸術劇場/ゴーチ・ブラザーズ
企画製作・主催:KAAT神奈川芸術劇場
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会
協力:イスラエル大使館
後援:横浜アーツフェスティバル実行委員会
【発売日】2020/09/19 全席指定
S席:7,500円 A席:5,000円
U24チケット(24歳以下):3,750円
高校生以下割引:1,000円
シルバー割引(満65歳以上):7,000円
※U24、高校生以下、シルバー割引はチケットかながわの電話・窓口・WEBにて9月19日より取扱い(前売のみ、枚数限定、要証明書)
※車椅子でご来場の方は事前にチケットかながわにお問い合わせください。
※未就学児の入場はご遠慮ください。
https://www.kaat.jp/d/jinruishi
https://stage.corich.jp/stage/108856
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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