【非公式レポート】公益財団法人多摩市文化振興財団「徳永京子の現代演劇講座「第1回ゲスト:長田育恵」」01/18パルテノン多摩4階学習室

 以前に私も登壇させていただいた、徳永京子さんの現代演劇講座に伺いました。3年目となる講座の第1回目のゲストは劇作家の長田育恵さんです。

 幼い頃から「物語を作る人になる」と決心していた長田さんは、早稲田大学ミュージカル研究会を経て大学卒業後もミュージカルの仕事を続けますが、30歳を迎えるころに何もかもを最初からやり直す決心で演劇界へと転身。日本劇作家協会の戯曲セミナーで出会った井上ひさしさんを師事し、たった一人での劇団てがみ座旗揚げから商業演劇デビュー、そしてグループる・ばる『蜜柑とユウウツ~茨木のり子異聞~』で鶴屋南北戯曲賞を受賞するまでの挫折と成長について、赤裸々にお話しくださいました。小説などとは違い、俳優、スタッフら複数の人間の力によって初めて作品として立ち上がる“戯曲”という芸術について、俳優によって発せられる“セリフ”についての長田さんの気づきは金言の宝庫でした。

 長田さんは今年、劇団四季の16年ぶりの新作ミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』で脚本・作詞を担当されます。90年代のミュージカル界について、またはミュージカル映画についても、創作ミュージカルの実績のある方だからこそ見える景色、見識をうかがうことができました。

 2月はてがみ座『燦々―さんさん―』の再演があります。好きな作品だったので楽しみです。

 難事を切り抜け、巨大なトラウマを克服してきた道程も詳しくシェアしてくださいました。山あり谷ありの20年間…順風満帆に生きている人なんて、いないんですね。

 長田:歴史を題材にとるのは、お客さんと同じ地図を持って出発できるから。

 長田:登場人物に本音(魂の言葉)を言わせるためには、その人物を追い込まないとだめ。感情の起伏が生まれる逆境が必要。だから登場人物に体験をさせていく。一緒に旅をしないと、自分(劇作家)にもわからない。

 長田:生身の人間が乗りこなす、言いこなすものとして、せりふがある。俳優は誰かが書いた言葉しか言えない。俳優は生身で舞台に立つのだから、せりふは意味や文脈の選択だけで(書くもので)はない。せりふは俳優が使う道具であり武器。俳優に、より高性能の道具を渡すことが劇作家の役目。

 人間が話す言葉について、ホワイトボードに図解してくださいました。人間を中央に置き、そこから同心円状の円を複数描いていきます。人間から一番遠い円上にあるのが「二度と会わない人にかける言葉」。そこから中央に向かって「日常のあいさつ」、「いつも会う人との会話」、「親族など親しい人との対話」、「一生に一度しか言わない本音(魂の言葉)」へと続いていきます。

 師事されていた井上ひさしさんのエピソードもご紹介くださいました。井上ひさしbotのツイートを挟みつつ記録しておきます。

 長田:『太鼓たたいて笛ふいて』で井上さんが使った方法は「(全世界への愛を込めて)おかえりなさい」というせりふ。日常の挨拶を、魂の本音にした。

 井上さんに習い、戯曲執筆の際は必ずフィールドワークをするそうです。

 長田:自分で足を運び、そこで感じたことは自分だけのものだから、自信を持って書ける。
 長田:この世で(既に)活字になっているものは創作しなくてもいい。私だけが見つけたことを書く。

 長田:(能舞台のような装置の作品で)ある演出家に「見せたいのは関係性の変化だけ」と言われた。登場人物の変化だけを書けばいい。
 長田:(舞台に)人間が来て、消える。そこに“物語”はない。“物語”なんて存在しない。


 ご参考:『リトル・ドラマー・ガール』ジョン・ル・カレの書評

 長田:井上さんに「今日一日を自分の心でよいものにしなさい」と言われた。今思うと、一生作家でいるための秘訣だと思う。いかに自分のものを健やかに維持するか。いい作品を生み出すために。

 あらためて井上ひさしbotを読み直すと、学び直せていいですね。たとえば物語について。

 こちら↓は私が心がけていることです。

 ■感想など

■登壇者のお二人より。ありがとうございました!!

公益財団法人多摩市文化振興財団「徳永京子の現代演劇講座」パルテノン多摩4階学習室
【第1回】1月18日(土) ゲスト:長田育恵(てがみ座主宰/劇作家)
【第2回】1月25日(土) ゲスト:杉山 至(セノグラファー(舞台美術家))
【第3回】2月1日(土) ゲスト:小泉今日子(プロデューサー/俳優/歌手)
「劇団四季に新作ミュージカルを託されて」
講師:徳永京子(演劇ジャーナリスト)
定員:各30名(応募人数が定員を超えた場合は抽選)
※申込状況により会場、定員を変更する可能性があります。
参加費用:各1,200円(当日精算) ※3回通し料金はございません。
http://parthenon.or.jp/act/3696.html

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