雷ストレンジャーズ「リーグ・オブ・ユース~青年同盟~」一般的には3時間以上になるらしいイプセンの戯曲を100分に短縮。出演者8人が“お面”を活用し、軽快な早替わりで複数役を担当。俯瞰して推理しながら観られた。目的遂行のための変節、慣習重視の保守などテーマは現代的。https://t.co/rsDW012kXv
— 高野しのぶ(しのぶの演劇レビュー) (@shinorev) September 17, 2019
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≪あらすじ≫ https://stage.corich.jp/stage/100232
本邦初演作品 イプセンの初期の唯一のコメディ!
南ノルウェーのある町の鉄工場。この町での有力者は工場主のブラッツベルクと地主のモンセン夫人。議会はほぼ世襲制で、ブラッツベルクも親の代からの侍従であり工場主。誰でも自由に演説して良い独立記念日のパーティーで、最近この町に越して来た青年ステンゴールはこのブラッツベルクを批判する演説をする。ステンゴールの演説は大成功するが、それを聞いたブラッツベルクは、この批判がモンセンに向けられていると勘違いし・・・
≪あらすじ≫
【公演レポート】笑いながらも“どきり”、雷ストレンジャーズ「リーグ・オブ・ユース」開幕(コメントあり)https://t.co/L4mAsDXvc0 pic.twitter.com/kLCFbAvTJC
— ステージナタリー (@stage_natalie) September 18, 2019
ここからネタバレします。セリフなどは正確ではありません。
カラフルな電球がフェスティバル会場のように舞台の天井周囲に飾られています。紙製のお面が上手と下手の壁に並んでいます。天井から吊り下げられた紐に、粘着テープでくっつけられているようです、登場人物たちの顔が手書きで描かれていて、温かみのあるイラストです。主要人物には名前のアルファベットも書かれています。
舞台面側の床には少し水の入ったペットボトルが並んでおり(おそらく水が重し代わり)、蓋にも同様にイラストの顔が取り付けられています。サイズは壁に並ぶお面の4分の1ぐらいの大きさです。俳優はそれら
のお面をつけたり外したり、もしくはペットボトルを人形のように扱って、役を演じ分けていきます。賑やかでリズミカルで、スピーディーな演出です。衣裳もかつらも役柄ごとに替えるので、なかなかにきっかけが多く、俳優のタスクは大量だと思います。
開演して1時間ぐらい経ったあたりで、少々気疲れをしている自分に気づきました。早替えやさまざまな見立てなどの手法を理解し、その表現を追い続けることがちょっとずつ負担になっていったのかもしれません。長い戯曲の核心をダイジェストにして伝えてくださることは、とても貴重です。いい機会を作ってくださったと感謝しています。ただ「作品全体がダイジェストだった」という印象が残ったのは残念な気もしました。最後の場面の示唆的な演出は興味深く拝見しました。
「リーグ・オブ・ユース」を自ら組織して率いる、若き見習い弁護士のステンスゴールは、その場その時の欲望を実現するためなら、なんでもやります。たとえば前言を撤回したり、嘘をついて人を操り、すぐ後で裏切ったり。思い浮かんだのは橋下徹氏です。維新の会、N国所属の人々も同じですよね。自民党の議員にも大勢います。ステンスゴールの行動は強引で浅はかですが、滑稽で愛らしくも見え、どうにも憎めない。そこが恐ろしいところです。
選挙ハックの才能すごい。とか間抜けなこと言ってるけど「モラルを度外視すれば金儲けなんて簡単」ということを選挙に応用しただけ。そりゃ似た者同士だしあんたは目からウロコだろうね😅 https://t.co/9rAK0cn6dR
— chocolat. (@chocolat_psyder) September 18, 2019
最後の方のセリフに「土地のルールに従う」といった表現があって、私にはその意図がよくわかなかったのですが、おそらく各地域の風習、慣習、しがらみといったものが根強く残り、否が応でも大きな力を持ち続けるのだという意味かなと解釈しました。それを「アジテーター」のステンスゴールがぶっ潰そうとするわけですよね。今回は彼が敗北して去りましたが、また10年後、戻ってくるかもしれない。彼はその時は国会議員になっているかもしれない。最後の場面では、変革を煽る演説に応えて「アジテーター(=ステンスゴール)」を熱狂的に支持した「リーグ・オブ・ユース」の仮面(チラシのイラストの目)をつけた人々が、舞台上に並びました。
演劇ジェット紀行 ノルウェー滞在編
【出演】
見習い弁護士ステンスゴール:谷口翔太
鉄工場の医者フィエルボー:松村良太(雷ストレンジャーズ)
ブラッツベルク:霜山多加志(雷ストレンジャーズ)
ブラッツベルクの息子エリックの妻セルマ:石村みか(てがみ座)
ブラッツベルクの娘トーラ:平山美穂(雷ストレンジャーズ)
ストルリの地主モンセン夫人:伊東弘美
モンセン夫人の息子バスチアン:野々山貴之(俳優座)
モンセン夫人の娘ラグナ:石村みか(てがみ座)
農場主ルンデスタ:北澤雅章(さいたまゴールドシアター)
元資本家エル:石村みか(てがみ座)
印刷屋・新聞記者アスラクセン:野々山貴之(俳優座)
小売商人マダム・ルーンホルメン:伊東弘美
作:ヘンリック・イプセン
翻訳 上演台本:小山ゆうな(雷ストレンジャーズ) 弦巻星之介
訳元:Der Bund der Jugend:Lustspiel in funf Aufzugen
演出:小山ゆうな
美術:乘峯雅寛
照明:阪口美和
音響:尾崎弘征
振付:中村蓉
舞台監督:八木澤賢 服部寛隆
歌編曲:長谷川ミキ
宣伝美術:相澤竹夫
制作:松井伸子 平山美穂(雷ストレンジャーズ)
製作:有限会社パレナージュ
【発売日】2019/05/29
【全席指定】
前売チケット 4500円
前売チケット プレビュー公演 4000円
リーグチケット※ 9000円
当日チケット 4800円
学生チケット(要学生証提示) 3000円
中学生以下チケット 1000円
http://kamist.main.jp/
https://stage.corich.jp/stage/100232
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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