ナショナル・シアター・ライヴ2019「リチャード二世」09/06-09/12シネ・リーブル池袋

 欠かさず見るようにしているナショナル・シアター・ライヴ(⇒前回)。TOHOシネマズ日本橋が復活!NTLive語る会『リチャード二世』は9/21(土)13:30~です。

≪作品概要≫ https://www.ntlive.jp/richardii
王権の簒奪をテーマにしたシェイクスピア劇。英国王リチャード二世の栄光と王座からの転落、そしてボリングブルック(ヘンリー4世)の台頭を描く。タイトルロールを担うのは、NTLive Japanには2014シーズンの『リア王』以来の登場となる名優サイモン・ラッセル・ビール。無理やり退位させられ、その後幽閉されたリチャードの長い独白などの見せ場をどう演じるか? 気鋭ジョー・ヒル-ギビンズの演出共々、お楽しみに。
≪ここまで≫

 福島観劇の翌日、朝早く東京に戻り、ランチを取ってからすぐに上映開始。不甲斐ないことに、ほぼ冒頭から眠気が…。あの装置と衣装が物足りなかったのもあるとは思います。

 終盤のリチャード二世(サイモン・ラッセル・ビール)の独白には見入りました。王冠を手に入れた後のボリングブルック(レオ・ビル)のひ弱さも好き。映画で顔がアップになるのはありがたいですね!

 ここからネタバレします。

 パンフレットで河合祥一郎さんが辛口の解説をされていました。神から王権を与えられ、権威をわがものにしていた人間(リチャード二世)が、突然それら全てを失ってしまうとどうなるのか…。あったはずのものを奪われる経験をした人間が「自分とは何か」と苦悶する、哲学的な問いのあるお話なんですね。でも、ただの箱(装置)のなかに、稽古着のような衣装を着た俳優がいるだけの舞台で、「あったはずのもの」を想像できるかというと、難しいわけですね。そもそも勝手に「ある」と信じていただけで、実は「なかった(ないも同然、無価値)」という演出の見立てなのかもしれませんが。

 手のひらのデバイスやAIの進化が著しく、時代の変化も加速度的で、人類は高齢化しています。世代間の価値観の差は広がるばかりですよね。「若者には年寄りの気持ちがわからない(わかる必要を感じていない)」のは、今も昔も変わらないのかもしれませんが、たとえば新自由主義的な考えの広まりなどを鑑みると、今の方が過激な気がします。

 史実としては若いはずのリチャード二世をサイモン・ラッセル・ビールさん(1961年生まれ、58歳)が演じ、彼から王位を奪取するボリングブルックをレオ・ビルさん(1980年生まれ、39歳)が演じています。若者が年長者から何もかもを奪う構図です。「アントニーとクレオパトラ」と「アレルヤ!」にも似ているような…。
 ※ちなみに演出家のジョー・ヒル=ギビンズさんは1977年生まれの42歳。

原題:The Tragedy of King Richard the Second
上演劇場:アルメイダ劇場(ロンドン)
収録日:2019/1/15 尺:1時間48分(休憩なし)
【出演】
リチャード二世:サイモン・ラッセル・ビール
ボリングブルック:レオ・ビル
バゴット、オーマール公:マーティンズ・イムハンベ
カーライルの司教:ナタリー・クラマー
ヨーク公:ジョン・マッケイ
ゴーント、ウィロビー卿:ジョゼフ・マイデル
モーブレー、ブッシー、グリーン、ヨーク公爵夫人:サスキア・リーヴス
ノーサンバランド伯:ロビン・ウィーヴァー
作:W・シェイクスピア
演出:ジョー・ヒル=ギビンズ(Joe Hill-Gibbins)
美術:ウルツ
照明:ジェーエムズ・ファーンコーム
ドラマターグ:ジェフ・ジェームズ
キャスティング:ジニー・シラーCDG
衣裳スーパーバイザー:クレア・ワードローバー
アソシエイト・デザイナー:シャーロット・エスパイナー
レジデント・ディレクター:ルーシー・レイ
鑑賞料金:一般3,000円、学生2,500円
https://www.ntlive.jp/richardii

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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