岐阜県の可児市文化創造センターによるala Collectionシリーズの第10弾。松田正隆さんの1990年代の戯曲を、高橋正徳さんが演出されます。
可児市文化芸術振興財団「坂の上の家」。全ての観客に可児市のバラを一輪プレゼントしてくれる。家に持って帰って花瓶に生けると、家族で会話が始まるのがいい。ありがとうございます😊 pic.twitter.com/JhHIyu6j9T
— 高野しのぶ(しのぶの演劇レビュー) (@shinorev) 2017年11月9日
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
失くした先に あたらしい人生がある
家族の絆と人と人の縁を描く 静かな傑作
その家には、若い三兄妹が暮らしている。
1982年7月23日、長崎大水害。多くの犠牲者を出したこの災害で両親を亡くした時、
遺された彼らはまだ幼く、父と母を失った家で助け合って育ってきた。
あれから五年―。
社会人になった長兄、予備校生の次兄、高校生の妹の三人は、今も坂の上の家で一緒に暮らしている。
夏の初め、長兄が恋人を連れてくることになった。
もうじき、またあの日が、両親の命日が巡ってくる…。
日常の活き活きとした情景の中に、家族の関わりや愛情、人と人の絆や葛藤を丁寧に描き、OMS戯曲賞・大賞を受賞した松田正隆の傑作戯曲。
人は人と関わり合うことで、喪失の向こうの再生を手にしてゆく。
生きてゆく手がかりを伝える温かな作品に、実力派のキャスト、スタッフが取り組みます。
髙瀬久男氏に捧ぐ
演出家・髙瀬久男氏は2015年に57歳で逝去されました。
松田正隆氏の戯曲を数多く演出した、生前の功績を称え本作品を髙瀬氏に捧げます。
≪ここまで≫
松田さんの戯曲はご本人の他、宮田慶子さん、鈴木裕美さん、平田オリザさん、森新太郎さんの演出で拝見したことがあります。高橋さんは人情喜劇風にされたようです。私が観たい種類の芝居の空気が立ち上がったのは、終盤になってからでした。昭和の家庭劇が「サザエさん」のような時代錯誤に陥らないためには、どうすればいいのでしょうね。SPAC『高き彼物』は美術を能舞台にして、過去の出来事であることが伝わる抽象的な場面を加えていました。
昨日、吉祥寺シアターにて、ala Collection公演『坂の上の家』。松田正隆の1993年の名作戯曲を文学座の高橋正徳が演出。役者陣の生き生きとした演技と、的確かつ洒脱な演出も相俟って、胸にゆっくりと染み入る素晴らしい舞台になっていた。しかし松田さん、あれ書いたとき30歳か!
— 佐々木敦 (@sasakiatsushi) 2017年11月11日
12月18日のニッポンの演劇では、間違いなく現代日本演劇史上もっとも過激な変貌を遂げた松田正隆の謎に迫ります。『坂の上の家』から『福島を上演する』まで。
— 佐々木敦 (@sasakiatsushi) 2017年11月11日
ほんとうに、マレビト以前の松田正隆の戯曲は、舌を巻くとはまさにこのことの天才的な作品揃いで、いわゆる「静かな演劇」の粋というか、現代口語演劇の早すぎた古典というか、とにかく『坂の上の家』、ドラマとはこういうものだとしみじみ頷く傑作舞台なのでお薦めです。
— 佐々木敦 (@sasakiatsushi) 2017年11月11日
高橋と申します。観に来て頂けて嬉しいです。
ゲンロンなどでよく拝見しております。ありがとうございました!!— 高橋正徳 (@noritakahashi) 2017年11月11日
ここからネタバレします。
5年前に長崎大水害で両親を亡くした三兄妹が、原爆症を発症したのか、貧血で入院した女性と家族になろうとします。弱者が弱者を救う話だと受け止めました。観客の私自身が試されますね。
妹役の造形が類型的女性像に見えて残念でした。
畳の部屋の下の部分が照明で光って、精霊流しを表現するアイデアが良かったです。
ala Collectionシリーズvol.10
≪可児、東京、長野、長岡、小野、筑後、舞鶴≫
出演:亀田佳明、鈴木陽丈、石丸椎菜、大野香織、陰山泰
脚本:松田正隆
演出:高橋正徳
美術:乘峯雅寛(文学座)
照明:阪口美和(文学座)
音響:原島正治
衣装:宮本宣子
方言指導:大竹周作
演出助手:五戸真理枝(文学座)
舞台監督:三上司
宣伝美術:市川きよあき事務所
イラスト:吉實恵
制作:清水佑香子、澤村潤、馬場順子
プロダクションマネージャー:村松明彦
プロデューサー:衛紀生
【発売日】2017/09/02
(全席指定・税込)5,000円
アルテ友の会会員4,500円(武蔵野文化事業団にて前売券のみ取扱い)
学生券2,500円(事前予約・当日受付精算のみ)
※学生券は10月21日よりWEB予約受付、限定枚数。
(当日、会場受付にて学生証をご提示ください。)
※開場は開演の30分前
※未就学児の入場はご遠慮ください。
http://www.kpac.or.jp/collection10/index.html
http://stage.corich.jp/stage/86908
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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