【意見/地点5】劇団地点の元劇団員が記者会見/地点は元劇団員に対し2500万円の損害賠償請求訴訟を予告/パワハラ防止法について

 演出家の三浦基さん率いる劇団地点(以下「地点」という)と、映演労連フリーユニオンを通じて団体交渉をしていた地点の元劇団員A氏が、オンライン記者会見を行いました。拙サイト内の関連投稿:1234
 会見の内容はウェブサイト「かもべり」(企画編集:島貫泰介、デザイン:濱祐斗)に詳しいです。この件の経緯と合わせて、A氏の主張をまとめてくださっています。A氏の痛みと震えが直に伝わってくるような、血の通った肉声ともいえる言葉たちです。一度読んで、しばらく時間をおいてから、また読みました。

 私は地点と映演労連フリーユニオンとの共同声明が公開された時点(2020年3月)で、二者間の問題は解決したのだと思っていました(「ロームシアター京都」の館長人事の問題は別として)。でも2020年12月、三浦氏の「ロームシアター京都」新館長就任見送りの報道に、「(三浦氏の)交渉事案の相手方から問題を再度提起」とあり、再び問題化していることを知りました。2020年9月にA氏が三浦氏に抗議文書を送っていたんですね。

 地点は2020年12月、A氏に対し2500万円の損害賠償請求訴訟を起こすと予告したそうです。まず訴えようとしていることに驚き、高額な請求金額に戸惑いました。一般庶民が容易に負担できる金額ではないですから、予告はすなわち脅しと受け取られるのが自然だと思います。私には、ある集団が一人の人間を潰そうとしているように見え、恐怖を感じました。地点がなぜこのような手段を選んだのか…不思議でたまりません。きっと、そうせざるを得ないと判断して訴訟予告をされたのでしょうけれど、でも、もし裁判をして勝訴したとしても、地点および三浦氏が失った信頼は、簡単には取り戻せないのではないでしょうか…。これまでの報道等とA氏の会見だけでは情報に偏りがありますので、地点からの説明を是非聞きたい(知りたい)です。
 ご参考:伊藤詩織氏(被害者)から山口敬之氏(加害者)への損害賠償請求額は1100万円。裁判所が山口氏に支払いを命じたのは330万円でした。
 伊藤氏は自民党の杉田水脈衆院議員に対し220万円、東京大大学院元特任准教授の大沢昇平氏には110万円の損害賠償請求訴訟を起こしています。

 私見ですが、残念ながら舞台芸術業界においてハラスメントは珍しいことではありません。ハラスメントが起こりやすく放置されやすいという構造的な問題もあるはずですから、今回の件を特定の個人間の問題なのだと例外扱いし、矮小化してはいけないと思います。
 「ハラスメント」という言葉も概念も知らず、暴力を受け入れ是としてきた氷河期世代(団塊の世代ジュニア)の私自身も、これらの問題の当事者だと思っています。強者の横暴を黙って見過ごして、諦めて忘れてきた間に、どれだけ多くの弱者の人生がゆがめられてきたか。遅まきながら、こちら↓のツイートで気づきました。

 ロームシアター京都は三浦氏の新館長就任問題を機に「ロームシアター京都館長問題に係る信頼回復の取組」を開始し、独自の「ハラスメント防止に関する指針」に基づいた研修を行って、「ハラスメントに係る内部相談窓口」なども整備されました。来る2月14日にはシンポジウムも開催されます。他の劇場もロームシアター京都に続いてもらいたいです。A氏は公共劇場に対する信頼と願いも述べられています。

 私は昨年、和田華子さんの講座を受講し、推薦されていた集英社新書「LGBTとハラスメント」(神谷悠一・松岡宗詞)を拝読しました。「パワーハラスメント防止法」が2019年に成立し、職場におけるパワーハラスメント防止対策は、2020年6月1日から大企業の義務になっています。中小企業は2022年4月から、つまり来年の春から義務化されます。
 「職場のパワハラって具体的にどういうことを指すの?」という疑問には、厚生労働省のサイトが答えてくれます。個別具体的に書かれていますので、わかりやすいです。
 ⇒ 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)
 ⇒厚生労働省「パワハラ防止法」(11ページ)
 ⇒高地労働局「職場におけるハラスメント関係指針」(16ページ)

 ハラスメントは誰もがその加害者、被害者になる可能性があります。声を上げ続けた人たちのおかげでルール作りが進み、とうとう法制化されました。舞台芸術業界においても、年齢やキャリアにかかわらず、なるべく多くの人が積極的に取り組んでいくべき課題だと思います。拙サイト内の昨年のハラスメント関連投稿を羅列します。ご参考になれば幸いです。

【提案】舞台の稽古場でパワハラ、セクハラなどのハラスメントについての講習を行ってはどうか()()(
和田華子「俳優・劇作家・演出家・制作者に向けたLGBTQ勉強会
白水社「第64回岸田國士戯曲賞授賞式(オンライン生配信)」09/21 KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ
アートマネージャーラボ×ひととひと「弁護士と考えるアートとハラスメント ~誰も苦しくない「アート業界」をつくるために~」10/14夜YouTubeLive
ON-PAM「舞台芸術制作者向けハラスメント勉強会~入門編~」10/17 ZOOMウェビナー
情報共有】第二東京弁護士会「フリーランス・トラブル110番」が開設されました/相談無料、匿名OK
転載】東京高等裁判所が劇団員の労働者性を認める判決(2020年9月)/フリーランスへの労災保険認定へ(2020年12月)

 以下に私が1/26と1/27に見つけた関連ツイートを転載します(順不同)。時系列ではないし網羅もできておりません。ツイート連投の掲載漏れがあることもご承知おきください。「かもべり」でA氏の主張が公開された直後の反応です。今後の報道でまた変わってくると思います。

↓Makiko Ochi さんのツイートは連投です。

 ↓たかま響さんのツイートは連投です。

 ↓Hiroki Yamagishiさんのツイートは連投です。

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