スズキ拓朗さん率いるCHAiroiPLIN(チャイロイプリン)が太宰治の小説「人間失格」と「失敗園」を舞台化。上演時間は約1時間40分。
CHAiroiPLINが三鷹市芸術文化センター星のホールで新作を上演するのは、2015年11月の『踊る戯曲3「三文オペラ」』以来です。今回も視覚化のアイデアや演劇的見立て、身体表現とダジャレ、そして尖がった批評性とエンターティナー精神に感服しました。オリジナル楽曲と歌、ダンスで綴るオリジナルの太宰ワールドは、コミカルで牧歌的でありながら、淫靡で狂騒的な空気もあって濃密!素晴らしかった~♪
太宰治作品をモチーフにした演劇公演
第14回 『ERROR〜踊る小説4〜』
三鷹市芸術文化センター星のホールで4月21日(土)~30日(月・祝)
詳しい情報はホームページへ⇒https://t.co/W9TdaaFB9q pic.twitter.com/tA8qhcMHqq— CHAiroiPLIN チャイロイプリン (@CHAiroiPLIN) 2018年2月6日
≪作品概要≫ 公式サイトより
いつでも人は前に向かって「失敗」する。
2018年、春! 三鷹の森に、言の葉が舞い踊り出す!
過去に、『踊る小説』シリーズと銘打ち、芥川龍之介、江戸川乱歩、金裕貞など、
国内外の小説をダンスにしてきたチャイロイプリンが
太宰治「人間失格」×「失敗園」に挑戦!
戯(おど)けにお道化る「人間失格」! 咲くに咲けない「失敗園」!
2つの名作をモチーフに、次世代コンテンポラリーダンス界若手筆頭の、
チャイロイプリンが踊(おど)けます! 乞う、ご期待!
≪ここまで≫
舞台をほぼ三方から客席が囲み、床の高さは客席と地続きになっています。星のホールは作品ごとに空間を変えてくれていつも新鮮。舞台は「庭」という設定です。植物が育つ場所なんですね。出演者は「人間失格」の登場人物と「失敗園」の植物を演じます。
未だ嘗てない佳境を迎えております!それほどに今回の作品の攻め方は過去に例のないチャイロイプリンです!!5/1には廃人と化しているだろう 笑
是非とも目撃してほしい作品です! pic.twitter.com/hUKC6G7obB— スズキ拓朗 (@suzukihokuro) 2018年4月14日
昨日の読売夕刊!Creatorsに記事が掲載!「ダークな内容をポップに」
CHAiroiPLIN+三鷹市芸術文化センターpresents
『ERROR〜踊る小説4〜』
2018年4月21日〜4月30日
三鷹市芸術文化センター 星のホール
チケットご予約はスズキ拓朗専用予約アドレスへ☆https://t.co/TmMnt9SLCx#プリンERROR pic.twitter.com/qJTsZRrzry— スズキ拓朗 (@suzukihokuro) 2018年4月12日
ここからネタバレします。
ほぼ何もないと言っていい空間に、長い金属の棒が1本。棒の真ん中につけられた紐が天井につながっています。幕が開くと、棒が上へと引っ張られて宙に浮きました。物語が進むに連れて、色んなものが棒の両端に吊り下げられていきます。なんと、モビールでした! 「人間失格」の主人公・葉蔵は不器用で、バランスを取ることができなかったんですね。いやー…アイデアにも、工夫を凝らした重し(小道具など)にも感動しました。
矢継ぎ早に繰り出されるダジャレと見立ては、繰り返されるので意味が分かりやすいし、鮮烈な印象を与えます。たとえばトマト役のジョディさんが棒を持って「バー、バー」と言うと、「ババア(おばさん)」「BAR(お酒を飲むお店)」「Bar(棒)」の3つの意味が伝わります。
葉蔵は3人(スズキ拓朗、香取直登、清水ゆり)で演じます。挫折と裏切りのため葉蔵がすっかり絶望してしまう終盤では、「SAKE」の音が「酒なくていいのに」「避けなくていいのに」「咲けない…」とつながりました。
一番初めの葉蔵を演じる清水ゆりさんは、下手奥でアコーディオン、ピアノ、電子オルガンを演奏しながら歌を歌い、ほぼずっと舞台上にいるので語り部のような存在です。楽曲は優しくおどけてもいるけれど、悲しげでシニカルでもあるので、残酷なおとぎ話のような味わいがあります。
曲に踊りがつくと自分が歌う歌も柔らかくなる。皆がステキだからです。
今日もピアノに向かいます。#プリンERROR pic.twitter.com/cGfzXnXIXM— 清水ゆり 役者・演奏者 (@yuri9199) 2018年4月11日
葉蔵(葉ちゃん)は咲けずに枯れてしまいましたが、最後に声に出された音は「タネ(種)」でした。カーテンコールでは清水さんの生演奏・生歌に合わせて出演者が一人ずつ紹介され、天井からは紙でできたカラフルな種が舞い落ち続けました。
※初日はモビールの紐がはずれるトラブルがありましたが、ダブルコールでした。
太宰治作品をモチーフにした演劇公演 第14回
【出演】
葉蔵(調子乗り):スズキ拓朗
葉蔵(女にモテる):香取直登
葉蔵(純粋):清水ゆり
ねぎ(ツネ子:心中相手):福島梓
だいこん(シズ子:家庭的な女):荒木亜矢子
にんじん(シゲ子:シズ子の娘):岩坪成美
ネム(ヨシ子:タバコ屋の女、編集者と浮気):エリザベス・マリー
ばら(薬屋の女、葉蔵に薬を渡す):田中美甫
トマト(バーのマダム):ジョディ
とうもろこし(ヒラメ):ぎたろー
わた(竹一・葉蔵のおどけを見破り「わざわざ」と言った同級生):埜本幸良
へちま(編集者、葉蔵の漫画と春画の担当):鳥越勇作
矢車草(P、葉蔵にたかる):田中博士
クルミ(堀木、葉蔵にたかる。クイズの司会):ジントク
ひまわり(葉蔵の高圧的な父):柏木俊彦
生演奏・歌:清水ゆり
※本山三火は体調不良のため降板。
原作:太宰治「人間失格」「失敗園」より
振付・構成・演出:スズキ拓朗
音響:許斐祐 照明:長尾祐介 音響:許斐祐 照明:長尾祐介 衣裳:竹内陽子 舞台監督:筒井昭善 宣伝美術:柳沼博雅 写真撮影:福井理文 映像撮影:たきしまひろよし 当日パンフレット:橋本ロマンス 制作:CHAiroiPLIN 制作協力:ROCKSTAR有限会社 主催(公財)三鷹市芸術スポーツと文化財団
【発売日】2018/02/08
【全席自由】
(日時指定・整理番号付)
【会員】前売2,600円・当日2,900円【一般】前売3,000円・当日3,300円
【学生】2,000円(前売・当日とも) 【高校生以下】1,000円(前売・当日とも)
★早期観劇割引・☆平日昼公演割引 の回は、各300円引き
http://mitaka-sportsandculture.or.jp/geibun/star/event/20180421/
http://stage.corich.jp/stage/90474
※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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