【非公式レポート】新国立劇場演劇「マンスリープロジェクト・トークセッション「スペシャル対談 宮田慶子×小川絵梨子」」01/14オペラ劇場ホワイエ

 今月の新国立劇場マンスリープロジェクトは、芸術監督の宮田慶子さんと次期芸術監督の小川絵梨子の対談でした。客席は盛況で、私の感覚だといつもより男性が多かったですね。3~4割は男性だった気がします。

 小川さんは芸術監督をつとめる4年間の大きな指針として、3つの柱を発表されました(⇒詳細
 1.幅広い観客層に演劇をお届けすること
 2.演劇システムの実験と開拓
 3.横の繋がり

 以下、私がメモした内容です。正確性は保証できませんのでご了承ください。非公式レポートです。

 ⇒へみのブログ「マンスリー・プロジェクトを拝聴して」
 ⇒Kaoruutさんのまとめ
 他の参加者のレポートとご一緒にどうぞ!補完できれば幸いです♪

 ■芸術監督を依頼された時/公共劇場の歴史

 宮田:小川さんの作品を初めて拝見したのはたしかd-倉庫の…。
 小川:TPTの『プライド』ですね。
 宮田:すごい才能だと思いました。そこから、私のシーズンで『OPUS/作品』『マリアの首』などを上演していただきました。

 宮田:新国立劇場演劇部門の、最年少の芸術監督なんですよね。三十代の。
 小川:ぎりっぎり三十代で…今年の10/2に40歳になります。
 宮田:シーズンが始まる頃にちょうど大台になるんですね。私は53歳の時に就任しましたが、その時も歴代最年少でした。一気に若返りましたね。小川さと私はほぼ20歳違いますから。(小川さんのように)若くて元気な、最先端を走っている人が選ばれたのは、いいことだと思います。

 宮田:私の任期中に、任期が3年から4年に伸びたんです。だから6年間のつもりが8年もやることになりました。その前に芸術参与の時期もあったので、計10年ですね。今年61歳になるので、50代はずっとかかわってきたことになります。

 宮田:小川さんには2年前から芸術参与のお仕事をしていただいています。依頼された時はどういうお気持ちでしたか?
 小川:ただただびっくりして…。打ち合わせのために新国立劇場に来たら理事長に呼ばれ、すぐに依頼されました。3週間で決めてくださいと言われました。宮田さんの次に誰が芸術監督になるのかは、話題になっていました。フリーランスの演出家にとって、誰が新国立劇場の芸術監督になるのかは死活問題ですから(笑)。仕事をくれる人だといいね~なんて話していたら…(自分に依頼が)。

 宮田:依頼された時、私は自分は何をすべきなのかと考えました。演劇とは、劇場とは、国立とは…。辞書でひいたりしたもの!(笑) それぐらい根本から考えないといけなかった。
 小川:まずどういう組織なのかを知ることからでした。劇場で働いている人たちは公務員なのか(という基本的なこと)とか。オペラ、舞踊、演劇の3分野がまとまって1つとして運営されているんだと知ったり。

 宮田:新国立劇場は税金だけで運営されているわけではないんです。私は自助努力と言っているんですが、企業や個人などのスポンサーの方々に支援していただいています。(資金を)コツコツ集めているんです。

 宮田:大正の最後、1924年に築地小劇場が出来ました。帝国劇場、日生劇場などがあり、その前の歌舞伎も含め、日本の舞台というのは民間で上演されてきたんですね。公共劇場はというと、1980年に東京芸術劇場、1994年に彩の国さいたま芸術劇場、1997年に新国立劇場と世田谷パブリックシアター、2010年にKAAT神奈川芸術劇場が開場しました。新国立劇場は20周年です。

 ■小川さんのキャリア/フリーの演出家

 宮田:小川さんのキャリアについて伺いたいんですが、NYで演出の勉強をされたんですよね。
 小川:はい、中学生の時から演劇は好きでよく観ていたんですが、演出の勉強をしたいと思って、大学を出てから留学しました。
 宮田:日本には教えてくれる機関がなかったから?
 小川:いえ、新劇の劇団は大変そうだなと思って…。
 宮田:そうですね、私なんか苦節十何年ですよ(笑)。いつデビューさせてもらえるんだ!?って思ってた。
 小川:(新劇の劇団所属の同世代の演出家である)森新太郎さんや上村聡史さんからお話を伺うと、たくましく育ってこられたんだなと思います。
 宮田:劇団は徒弟制度だからね。ひたすら他の人の演出を見て学ぶ。足りないところは本で読む。そういう意味で小川さんがうらやましいし、強みだと思いますよ。外国に渡って一人でがんばってきたんでしょう。
 小川:もうちょっと英語ができてから留学すればよかったとは思いました。私は小学校から大学まで同じ学校に通ってて世間を知らなかったんです(その意味で苦労したかもしれません)。
 宮田:お嬢様なんだね。
 小川:いえ、私は違います、家が本屋で、商店ですから。

 小川:私が行ったアメリカの学校はそれほど歴史が古いわけではなく、いきあたりばったりでやってる印象はありましたが、体系化された演技と演出があるのだと知りました。でも学んだものを活かせるかどうかは自分次第。体系だったアプローチはあったし、なんらかの基盤を教えていただいた。今になって助かると思うことがあります。たとえば「何かがうまくいかない時はシーンの入り口が間違っている」という教えとか。先人たちが積み重ねてきてくれたおかげで、自分が学べたんだと思います。

 小川:第三世代の演劇人が私のヒーローでした。独特の世界観があって作・演出(出演も)兼ねる人たち。自分にはそういう才能はないと思っていました。
 宮田:たとえば野田秀樹さん、鴻上尚史さん、渡辺えりさんたちですよね。私も同世代です。演出だけをするフリーランスで、集団を持たずに演劇やれる方法は…当時はなかったのかも。今より演出家の存在感が薄かったですよね。私は「演出家の職能をはっきりさせよう!」とわめいてました(笑)。
 小川:アメリカに公演にくる日本の演劇人に、聞いていたんです。「日本で演出だけをやるのは、どうしたらいいですか?」って。「…わからない……」という返事が多かったです。

 ■アメリカの寄付文化

 宮田:アメリカには国立劇場というものがないんですよね?
 小川:はい、基本的にNPO(非営利)の団体が劇場を運営しています。ケネディー・センターだけが国立です。リンカーンセンターでさえもNPO。
 宮田:日本は文化予算が低いと言われますが、アメリカはもっと低い。
 小川:ただ、税金の控除があって、寄付文化が浸透しています。私がNYで劇団をやっていた時もファンドレイジングをしていて、友達に声を掛けたら「いいよー、税金払うぐらいだったら劇団に払いたいから」って。1万円でも多く集めたいんですよね。
 宮田:そうよね、劇団にとっては10万円でもありがたいよね~。
 小川:10万円あったら! とりあえずホっとしますね~。

 ■中嶋しゅうさん

 宮田:帰国した時の演劇界の印象はどうでしたか?
 小川:…怖かった、ですね…。飲みに行く習慣とか。※このあたりのご発言は失念しました。
 宮田:演劇人、ひどく飲んでた時期がありましたよね(笑)。私は下戸なんですけど、飲まされて何度気を失ったことか。話をするためになぜか飲み屋に行く。稽古場で話せばいいじゃないか!って思うんですけどね、そのための稽古場なんだから。でも今は変わってきましたよ。先輩たちは「若い奴らが飲まないんだ」って寂しがってる(笑)。若者は「体調管理のために帰ります」って言って早く帰ります。
 小川:私はラッキーで、お会いした方々にはとてもよくしていただきました。お亡くなりになりましたが、私は中嶋しゅうさんと会って変わりました。
 宮田:顔は一番怖そうなのにね(笑)。本当は一番優しい。
 小川:しゅうさんに会っていなかったら、私は今、ここにはいないし、全然違う人生だったと思います。演劇をやってたかどうかもわからない。私の、演劇のお父さんでした。

 ■時代の変化と集客/舞台はお客様との共同作業

 宮田:この10年で本当に変わりました。劇団の時代からプロデュース公演の時代になった。翻訳劇もけっこう上演されるようになったし。
 小川:私はタイミングのいい時に帰国したんだなと思います。プロデュース公演があるから演出の仕事をいただけるので。

 宮田:私が就任した年にスマホが始まったんです。それでSNSが爆発的に広がった。今は実演芸術よりもスマホにお金を使う若者が多くて、集客は悩みどころです。
 小川:集客にかんしては、難しい問題をはらんでいると思います。劇団からプロデュースへと移って、観客が注目する要素はさまざまですが、理想は作品で選ばれることだと思います。とはいえ、やはりキャスティングだとも思っていて。ただ、芸能と演劇の垣根をなくしていったのは、先代の大きな功績だと思います。一朝一夕にはいかないことはわかっていますが、作品でお客様を呼びたい。それを3つの指針の1つにしました。

 小川:舞台に立っている時、俳優は本当に客席をよく見ています。お客様がいらっしゃるから、パワーをもらえるんです。お客様はもう一人の登場人物で、時間を共有してくださる。舞台はお客様との共同作業だと私は思っています。
 宮田:いっぱいお客様が入っていることで、作品が変わっていくことを実感しています。

 小川:芸術監督になるにあたり、歴代の芸術監督の方々に1時間ほどお時間をいただきました。栗山民也さん、鵜山仁さん、宮田さんです。(新国立劇場に)こういう流れがあるんだなと教えていただきました。宮田さんがいてくださったから、今があります。

 ■フルキャスト・オーディションは毎年1本やりたい
 
 小川:民間のプロデュース公演は1回の公演が生命線。それが失敗したら次はないし、人生だって変わるかもしれない。プロデューサーは非常に厳しい状況で闘っています。新国立劇場は場所があるし予算がありますから、公共だからこそできることをやりたい。とはいえ赤字、赤字、赤字と続いたら私はクビになると思いますが(笑)。新しい演劇のアプローチを試してみたい。私にとって3つの指針のうちの2つ目が非常に重要なんです。

 宮田:鈴木裕美さん演出の『かもめ』でフルキャスト・オーディションをしますね。
 小川:私の感覚ですが、作品はキャスティングで6割は決まると思っています。質(クオリティー)ではなく、作品が変わってくる。演劇は「(稽古場にいるのが、舞台に立つのが、仲間になるのが)誰なのか」が大きな要素です。オーディションに来てくださるということは、少なくとも作品に興味があるということですよね?そうだとこちらのモチベーションも上がります! 時々「や、や、やりたい、の…??」と確認しないといけない人がいたりして…。
 宮田:そうよね、「時間が空いたんで、舞台をやってみようと思いました~」とかね!
 小川:「ちゃんと勉強したいと思って~」とか…勉強て……。こっちは人生かかってるのにーーー!ってなりますよね。
 (会場で大いに笑いが起こる)

 宮田:アメリカは基本的にオーディションなんだよね? 私も『わが町』の主役とボーイズ・アンド・ガールズのオーディションをして、たくさんの素晴らしい方々とご一緒できました。中村倫也さん、橋本淳さんも出演していました。
 小川:役者さんも、どうやって役が決まるのかを知りたいと思うんです。「知り合いだから」「有名だから」だと……(モチベーションが下がっても仕方がない)。
 宮田:これ本音ね!(笑)
 小川:自分が勝ち取ったとなると違う。気持ちがいいスタートを切れると思います。

 小川:フルキャスト・オーディションは毎年1本やりたいと思っています。今回は出版されていて、すぐ入手できる戯曲という意味もあり、『かもめ』になりました。『OPUS/作品』をやると言っても、「どうやって戯曲を手に入れるの?」ってことになっちゃいますし。

 ■作品が良いから公演になるシステム

 宮田:「こつこつプロジェクト(ディヴェロップメント)」についてはどうでしょう。
 小川:1年かけて演出家が作品に向き合う時間を提供します。自分が一ヶ月強の稽古では足りないと思うことが多くて。役者さんと信頼関係ができた上で、もっと試してわかりたいと思うんですね。時間というより日数です。作品を練り上げていく時間が欲しい。
 イギリスのナショナル・シアターの視察で話を聞いてきました。ディベロップメントという部署と建物があって、200個ぐらいアンダーで動いている企画があるんです。作品がいつも動いていて、待機している状態。機が熟したら公演にしていく。

 小川:劇場が空いているから上演するのではなく、作品が良いから公演になるという風にしたい。1年かけて練り込んで、体力をつけてもらいます。3か月目、6か月目、1年目(12か月目)に節目があり、3か月目、6か月目は内部向けの発表をして、推進するかどうかを協議します。演劇を作っていると、なんとなくわかるものなんです。これはもっと進化する、楽しくなるという時もあれば、ドン詰まったな、という時もあって…。(客席で笑いが起こる) 1年後に試演を行う予定ですが、査定次第で3つともなくなる可能性もあります。

 小川:作品を作りたい、やりたい、だから公演になる。理想論ですが、そういうシステムを作りたい。私の力量では、稽古は1か月だと足りないことがある。初日が近づいて間に合わなくなると、とにかくなんとか形にしなきゃと焦っちゃうんですよね。俳優には、生き生きとして人を惹きつける、生きた人間の感覚を持ってきてもらいたい。でも短期間だとそれは難しいんです。それに私は稽古場で役者さんに演じてもらって気づくことが多いんですね。

 小川:たとえばアル・パチーノは10年かけて役作りをするとか。終わりなき探索の世界です。強度を持った作品を届けることを試したい。演劇を作っていて「一過性」だ、「消費」だと思うことがあって。言葉は悪いですけど「消費」という印象を強く感じることがあるんです。作るプロセスに喜びがあるはずで、この企画では完成よりもプロセスに重きを置いています。主旨をわかってくださる方にご参加いただけました。
 宮田:喜んで参加してくれる俳優さんもいるんじゃないかしら。

 宮田:ナショナル・シアターのディベロップメント部門では、長塚圭史さんが井上ひさし作『父と暮せば』をイギリス人俳優と作っていました。劇場の奥に違う建物があるんだよね。あの環境は素晴らしいです。“贅沢な無駄”かもしれない。
 小川:長い目で見た時、公共でやるべき規範作りになって欲しい。システム自体の実験です。私の任期は4年なので、最初の2年で3人、次の2年でまた新たな3人に取り組んでもらう予定です。1年後の試演の時に、作品が育っていてくれたらいい。その後、どこで育ってもいいと思います(新国立劇場でなくてもいい)。作品が息長く続いて、花開いていく。そういうことを公共としてやりたい。

 ■ラインアップの各作品について

 宮田:サルトル作『誤解』の演出は稲葉賀恵さんです。
 小川:稲葉さんは30歳になるかならないかの、チャーミングな女性(笑)。着実でしっかりした演出をされます。
 
 宮田:『誰もいない国』は寺十悟さん。
 小川:寺十さんは役者さんとして私の作品によく出ていただいいてます。『誰もいない国』はいつかやりたいと思っていました。

 宮田:『スカイライト』は小川さんね。翻訳は浦辺千鶴さん。
 小川:浦辺さんが引き受けてくださいました。浦辺さん、いないと、私、死んでしまう~…。浦辺さんは宮田さんにお引き合わせいただきました。

 宮田:そしてフルキャスト・オーディションの『かもめ』。これはトム・ストッパード訳なんですね。
 小川:そうです。NYで観たんですが、「シェイクスピア・イン・ザ・パーク」という夏に演劇を無料で見せてくれるイベントで、豪華キャストでした。メリル・ストリープがアルカジーナ役だったり。48時間、外に並んでチケットを取りましたね。楽しかった~。
 宮田:お祭りね(笑)。
 小川:トム・ストッパード訳は改変というほどではありませんが、アダプテーションはされています。

 宮田:そして少年王者館。
 小川:1年に1作品は招聘演目をということで。私、ファンなんです。唯一無二の創造をしてこられています。基本的に作・演出を分けているラインアップですが、少年王者館については天野天街さんの作・演出で、新作です。

 宮田:『オレステイア』は上村聡史さん。
 小川:盟友、上村さんにお願いしました。古典を入れたかったこともあって。『オレステイア』はアダプテーションされています。上村さんは尊敬しているし、一緒に居て欲しい演出家です。
 宮田:上村さんは新国立劇場で何度も演出されていますが、中劇場は初めてですね。

 宮田:野木萌葱さんが初登場し、新作を小川さんが演出されます。野木さんは女性で、社会派の戯曲を書かれています。
 小川:野木さんの戯曲が好きです。

 宮田:全体的に今までに新国立劇場にかかわっていない人が多いですね。
 小川:新しい方にこの劇場を使っていただいて、一緒に作っていけたら嬉しいです。
 宮田:フレッシュなメンバーになるのは何よりです。

 小川:『誰もいない国』と『スカイライト』が並んでるので、「NTLiveからパクった」みたいだよねと、(1/11の)ラインアップ発表の時に内部で話してたんです…。『スカイライト』はたしかにNTLiveで知ったんですが、『誰もいない国』は、違いますっ!
 宮田:ラインアップは2年前までには決めないとダメですからね。俳優もスタッフも、劇場のスケジュールもありますから。
 小川:もし近くに「あれ、NTLiveのパクリだよね」って言ってる人がいたら、「あ、パクリじゃないらしいよ…」とつぶやいてくださいっ。(会場で大いに笑いが起こる)

 ■劇場はどんなことがあっても、進んでいかなきゃいけない

 宮田:2010年秋の『ヘッダ・ガーブレル』で私のシーズンが始まり、その半年後に東日本大震災が起こりました。あの一ヶ月は一生忘れません。夜公演に、お客さんが、来てくれないの。あの時は計画停電とかがあって、帰宅困難者になる可能性があったでしょう。『焼肉ドラゴン』のメンバーはソウルにいて、私は先に帰国して震災に遭いました。『ゴドーを待ちながら』は稽古中。上演した時は「何かを待つ」という内容や舞台美術が符号して、ゾっとしました。あの1年は、劇場にお客様が来てくださっただけで感謝しました。能天気だと思われるかもしれないけど、笑ってもらいたくて、楽しいことを組み込んでみたりもしました。

 宮田:劇場はどんなことがあっても、進んでいかなきゃいけない。10年間で本当に変わったんですよね。たとえば私が就任した時は民主党政権だったんですよ。事業仕分けとかがあってね。2012年に劇場法が通ったり。その都度、劇場は、生きて、進んでいくんだなと思います。

 宮田:今回の対談のために昔の資料を出して見ていたら、私が就任時にやりたかったことのリストが見つかりました。できたことも、できなかったことも、あります。戯曲を出版する新国文庫を作りたかった。ロンドンはすべての戯曲が同じ規格、同じデザインなんですよ。研修所に演出家コースを作りたいとも書いてます。今、小川さんにお伝えしているからね!
 小川:はい、胸に刻みます。
 宮田:戯曲の出版はできなかったけど、雑誌や文庫で戯曲を発行していただくことはできましたし、『かがみのかなたはたなかのなかに』はとうとう、パンフレットに戯曲全文掲載ができたんです。ね、言い続けたら、叶うかもしれないから! あと、新国祭りっていうのもやりたかったな。名前はどうあれ(笑)。だってオペラ、バレエ、演劇の3つの分野が1つの劇場にあるんです。1日通し券で色んな演目が観られるフェスティバルはどうかしら。

 宮田:8月のマンスリープロジェクトでは、マンスリープロジェクト全プログラムを振り返ります。1年に12本、8年間だから、96本やったんですよ! 企画サポート委員会というのもありましてね。その方々と話します。
 小川:名前は変わるかもしれませんが、宮田さんがなさったことを受け継ぐ企画は予定しています。

 宮田:私のシーズンはまだこれから5本ありますのでね(笑)、皆さんどうぞよろしくお願いします。
 小川:4月に私が演出する『1984(イチキューハチヨン)』もありますので、観にいらしてください!

 ■参加者のツイート(網羅はできていません)

■web dorama de songha「応援演説」(成河さんのブログ)より全文引用(2018/01/15に加筆)

「次期新国立劇場、演劇芸術監督に就任される小川絵梨子さん、その一年目のラインナップとメッセージが公開されています。

http://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/23_011682.html

公共という立場から「演劇」の今と未来を考え、実践し、開拓する。その活動が1人でも多くの人に支持され、そして1つでも多く実を結ぶことを心から願っています。

「演劇が社会にもたらす有用性」とは一体何でしょうか。僕なんかがひとり、考えても考えても答えは出ません。ですが考えるのをやめた時、いよいよ「娯楽」として消費される以外の道は本当に絶たれてしまうような気がします。「娯楽」を否定するつもりはありません。ですが、人は娯楽だけでは生きて行けないのもまた事実です。

僕たちの社会には、生活を「労働」と「娯楽」に分けてバランスを取る、そういう価値観があるように思います。「仕事」と「遊び」と言ってもいいです。

でも同時に、「遊び心を持った仕事」や「誰かのためになる遊び」があったりします。そこには「効率」や「成果」とは無縁の豊かさがあります。

「仕事に戻るための娯楽」も必要ですが、同じくらい、「豊かな仕事を産み出すための遊び」も必要なのだと思います。そして後者は「演劇が持つ社会への有用性」と呼べるものの一つではないかと思います。

劇場の中で完結することなく、日常生活にきちんと影響を及ぼす、豊かな生を考える知恵となり得る演劇を、僕は僕のいる場所から考え続けたいと思います。

同時代を生きる人間の一人として、小川絵梨子さんの仕事を万感の思いを込めて応援しています。」

1月14日(日)14:00~
出演:宮田慶子、小川絵梨子
二期8年の任期の最終シーズンを迎えた宮田慶子演劇芸術監督と、2018/2019シーズンからそのバトンを引き継ぐ小川絵梨子芸術参与が、新国立劇場演劇芸術監督としての「これまでとこれから」を存分に語り合います。
募集期間:11/9(木)~
入場無料、要予約
https://www.nntt.jac.go.jp/play/monthly/

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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