ZINGY ZAP Enterprises/航跡『令嬢ジュリー』11/07-10プロト・シアター

 新国立劇場演劇研修所第5期生の梶原航さんと北澤小枝子さんが出演するストリンドベリ作『令嬢ジュリー』。お二人の共演は2012年にも拝見しています。演出は松森望宏さんです。約2時間10分(休憩なし)。

 傑作古典をシンプルな演技合戦で見せる、奇抜なことをしないド直球のストレートプレイでした。丁寧な戯曲読解に基づいた上演です。これを観れば『令嬢ジュリー』が何を表した戯曲なのかがわかるのではないでしょうか。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
身分、生い立ち、憧れ、夢。「一瞬」の重さ…。
欲望を抱えた孤独たちは何処へ向かうのか。

誰もが浮かれる夏至祭の前夜。伯爵令嬢ジュリーは「今夜、身分の上下はない」と、召使ジァンをダンスに誘う。邸での立場や、許嫁であるクリスティンの存在を口実にいさめるジァンに対し、高慢で我儘なジュリーは“令嬢という身分と命令”で強引に相手をさせる。その言動は次第に誘惑へと変わってゆくが…
 ≪ここまで≫

 わがままで破天荒な令嬢ジュリー(北澤小枝子)が、一晩で変身してしまいます。傲慢なお嬢様が徐々に変わっていく様子を、北澤さんは説得力のある演技でみずみずしく表してくださいました。行動に感情がともなっており、変化が鮮やかです。細やかなグラデーションで興味を引きつけます。下男のジャン(梶原航)も緻密な組み立てをされていたようですが、後半はもっと色男の余裕やズルさを見たかったかも。あくまでも2日目(2ステージ目)を観た感想ですが、怒りの表現が多かったので、バリエーションを増やしたり、怒りとは違う選択をしたりするといいのではないかと思いました。信仰に厚く規律を重んじるクリスティン(anna)も丁寧な造形でした。

 積極的に照明を使って、場所が変わらない会話劇にいくつもの起伏を作っているのが良かったです。選曲は少々説明的過ぎるかな~という気がしました。
 小劇場で俳優と客席の距離が超~近く、がっつり、みっちりの観劇環境なので、欲を言えば、途中休憩を入れて欲しかったですね。

 3月に小川絵梨子さん演出版を観たばかりだったので、比較する楽しみもありました。「悲劇喜劇」の演劇時評↓で取り上げています。

悲劇喜劇 2017年 7 月号
悲劇喜劇 2017年 7 月号
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早川書房 (2017-06-07)

 
 ここからネタバレします。

 伯爵が帰宅し、部屋のベル(電話)が鳴ります。ジャンに「30分後に靴とコーヒーを用意しろ」との内容でした。細かいことですが、ここからはジャンが焦る様子を見せるのが良いのではないかと思いました。ジュリーはジャンに「私に(自殺するよう)命令して」と懇願し、ジャンは一度は断りながらも、聞き入れます。命をかけた会話なのに、タイムリミットがあるのが残酷です。ラストシーンをたっぷりと見せるよりも、切羽詰まった、追い詰められた状況での決断だったことが伝わる方が、ジャンの情けなさがあぶり出されることも含め、私好みですね。

■新国立劇場演劇研修所創立10周年(2015年)を目前に、副所長の西川信廣さんが修了生(約100人)に声を掛けたらしい

≪東京、神奈川≫
【出演】ジュリー:北澤小枝子、ジャン:梶原航、クリスティン:anna
脚本:ストリンドベリ
翻訳:毛利三彌
演出:松森望宏(CEDAR)
美術:西村有加
照明:小坂章人
音響:西川裕一(SYLIANRUE)
舞台監督:奈良花美(劇団夢幻)
舞台監督補佐:小林清孝
演出部:佐藤真由美
宣伝美術:小林寛子(航跡)
製作:航跡
主催:ZINGY ZAP Enterprises/航跡
【発売日】2017/10/07
前売 3,500円
当日 3,700円
23歳以下 2,000円
※23歳以下限定チケットは要当日証明提示
※開場は各開演の30分前・受付開始は各開演の45分前
※当日券は開演15分前より受付にて販売
※未就学児童入場不可
http://kou-seki.net/julie/
http://stage.corich.jp/stage/87034

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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