公益社団法人日本劇団協議会『喜劇昭和の世界③「ブランキ殺し 上海の春」』10/28-11/05ザ・スズナ

 2014年の『音楽劇 阿部定の犬』、2016年の『キネマと怪人』に続き、佐藤信さんの戯曲『ブランキ殺し 上海の春』が上演されます。演出は西沢栄治さん。“喜劇昭和の世界”三部作上演の最終作です。約2時間10分、休憩なし。

 ≪作品紹介≫ 公式サイトより
「喜劇昭和の世界」三部作、遂に完結!
佐藤信が、すべての「歌詞」を新しく書き換え「いま・ここを問う」注目作が、いよいよ登場、
あらゆる「昭和の革命」が渦巻く都市上海― 70年代アングラ演劇の名作を、お見逃しなく
 ≪ここまで≫

 2.26事件が革命として成功していたら…という架空の設定で日本人、中国人、朝鮮人、西洋人らが入り乱れる上海が舞台。佐藤信さんの70年代の戯曲を西沢栄治さんが冷静に演出。私にはもうこの熱さも、革命を欲する身体もないのだな…と気付かされた。

 銀色のポールが横一列に並ぶシンプルな美術(小林岳郎)に、狙い定めた照明と映像が活きる。目の前で披露される元気な歌と踊り(スズキ拓朗)、大声の会話、鍛えられた筋肉が「既に失われたもの」として迫ってきた。時代は変わり、日本人も変わり、今、ここには大きな断絶、空白があるのだと、まざまざと見せつけられる体験になった。

 ここからネタバレします。

 ヒロヒトが乗る列車を狙う爆弾テロを計画するが、その当日に伯爵夫人プランタン(木下智恵)も春日(鈴木幸二)も病に倒れ、包帯(五島三四郎)は少女(山﨑薫)の出産に大わらわ。なんと出産直後の少女が一人で爆弾を抱えて列車に飛び込んだという結末。純白の民族衣装(チマチョゴリ)を着ていたのは、彼女もまた“革命”を望んでいたからなのか。

日本の演劇人を育てるプロジェクト 新進演劇人育成公演 俳優部門
喜劇昭和の世界③『ブランキ殺し 上海の春』
【出演】
少女:山﨑薫 包帯(少女の子の父):五島三四郎 春日(絵描き):鈴木幸二 
伯爵:さとうこうじ 伯爵夫人:木下智恵
オカモト(名刺を配る男):甲津拓平 少女の兄(伯爵の部下):眞藤ヒロシ 老楊:龍昇
松島さん(昭和天皇):山下直哉 寒山:宮崎恵治 拾得:佐野陽一
ブランキ(フランスの革命家):流山児祥 ブランキの妻:廣田裕美
皇衛兵(紅衛兵):江口翔平、有田杏子、森諒介、竹本優希、山丸りな
脚本:佐藤信
演出:西沢栄治
音楽:諏訪創
振付:スズキ拓朗
美術・舞台監督:小林岳郎
照明:横原由祐
音響:高塩顕
衣裳:大野典子
映像:浜嶋将裕
演出助手:星美咲
イラスト:ヨコヤマ茂未
宣伝美術:江利山浩二(KINGS ROAD)
アシスタント・プロデューサー:米山恭子
プロデューサー:流山児祥
主催:文化庁
公益社団法人日本劇団協議会
全席指定/一般4,000円、学生・U25(25歳以下)3,000円 高校生以下1,000円
※割引券(学生、U25、高校生以下)の取り扱いは、ザ・スズナリ、日本劇団協議会、流山児★事務所のみ。
学生証や年齢を確認できるものをご提示いただきます。
http://www.gekidankyo.or.jp/performance/2017/2017_07.html

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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