高円寺K’sスタジオ『リーディング公演「ピンクミスト」』02/23-26高円寺K’sスタジオ本館

 俳優の日下諭さんが運営する高円寺K’sスタジオの第一回目のプロデュース公演です。スタジオ開設時からよく伺っているので、とうとう公演が始まったのだなと、個人的に感慨深いです。5月の第二弾も発表されました(5/11-14に『宮城野』、他を上演)。

 題名は直訳だと「ピンク色の霧」。軍隊に志願して中東の戦場に向かった、3人の若者とその家族、恋人のお話です。実話を基にした2015年初演のラジオドラマで、ただいま舞台版が全英ツアー中。上演時間は約1時間40分(休憩なし)。

 公演終了後はその場がバーになり、飲み物を注文して出演者とおしゃべりができます。稽古⇒本番⇒交流が1つの稽古場で完結するスタイルです。贅沢な照明機材はないですが、スピーカーはあります。最大客席数は約50席。

≪作品紹介≫ CoRich舞台芸術!より
日本初訳、初演。英国、ウェールズで注目を集める詩人、劇作家のオーウェン・シアーズによる詩劇『ピンクミスト』のリーディング公演。
≪ここまで≫

 用語解説が充実していて、作品の背景や専門用語の理解を助けてくれました。
 いわゆる戦争体験談ですが、当事者を演じる俳優が、悲惨な体験を明るく語ってくれるのがとても良かったです。

 1人の人間の体と心が傷つけられること、そして殺されることによって、本人だけでなくその周囲の人々も傷つけ、大勢の人生を狂わせるのがよくわかります。40代の私は「戦争、人殺しは決してしてはいけない」という教育を受けてきましたが、今はそういうわけでもないようで、非常に危惧しています。なぜいけないのかを身をもって理解できるんじゃないかと思います。わかっているような気になっている私自身も、今後もなるべくこういう作品に触れて、その都度、確かめていきたいです。

 ここからネタバレします。

 爆弾などで人間が燃え、殺されると、そこにピンク色の煙が立つ、という表現がいくつかありました。

 出所後、妻のもとに戻らず路上生活をすることにしたタフ(日下諭)が、地面から過去の数々の戦争を感じ取ります。戦争の名称をどんどん羅列していくのが良かったです。

 兵士(アーサー)の遺体を丁寧に柩に入れる「アンディとトム」は実在の人物だそうです。

【出演】アーサー(語り部/親友2人を軍隊へと誘う/すでに死んでいる):西村俊彦 グウェン(アーサーの恋人):吉田真理 タフ(ゲラントとも呼ばれる/味方の攻撃で重体になり帰国、暴行事件を起こして1年の刑期を経てホームレスに/慈善事業をすることで前向きに)日下諭 ハッズ(地雷で両足を失う/アーサーの死を機にリハビリに尽力):田部圭祐 ハッズのママ:柚木佑美 リサ(タフの妻、男児1人の母):槌谷絵図芽
作:オーウェン・シアーズ  翻訳・演出:吉田真理、日下諭 チラシデザイン:荒巻まりの 制作:日下諭 舞台監督、音響:脇坂兵吾
【発売日】2017/01/16 完全予約制・全席自由1800円
https://www.facebook.com/events/1669206863373778/
http://stage.corich.jp/stage_main/65221

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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