新国立劇場演劇研修所10期生有志企画『東京裁判』06/24-25新国立劇場演劇研修所・実習室(芸能花伝舎内)

東京裁判
東京裁判

 現在、新国立劇場演劇研修所の最終学年(3年生)である10期生有志の公演です。3年次は試演会、修了公演などの発表の年なんですね。このような自主公演が一般公開されるようになったのは、ここ数年のことです。個人的にはとってもありがたい! ⇒舞台写真(2016/06/29加筆)

 『東京裁判』は野木萌葱さんの代表作で、野木さんの劇団パラドックス定数で何度も上演されています。2015年のpit北/区域でのロングラン公演ではメルマガ号外を発行しました。

 「あのセリフをこう言うか!」などと演劇オタクな見方もしつつ(笑)、没頭して楽しめました。それゆえ(?)上演時間を失念。うーん、詰めが甘い私…。

 客席は最前列の桟敷席も含めて全70席ぐらい。15席ほど空席になっていてもったいなかったですね。

 ≪あらすじ≫
 1946年の東京・市ヶ谷。日本を弁護する主任弁護人5人が、極東国際軍事裁判(東京裁判)に臨む。
 ≪ここまで≫

 まず、この戯曲を選んだこと自体に感心したというか…驚きました。野木さんの戯曲は男優なら一度はやってみたい役、言ってみたいセリフのオンパレードだと思います。でも同時に、上演を成功させるのは容易ではないと思っていたので。ヒロイックにノリノリでやっちゃうとシラけるし、真面目すぎると息苦しくなるし。野木さんの演出はそのあたりの勘所を押さえていると思います。

 10期生版もその点、戯曲のクスっと笑える部分を見落とさず、コミカルな要素も積極的に加えていたようで、かなり笑うことができました。

 会場に向かうまでの通路で参考文献が公開されていて、色んな本や資料にあたって稽古されたのがわかりました。舞台上の机の上の紙類も、開演前に観客が手に取って見たりしていました。

 ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。

 暗転して開幕する時に音が鳴りました。効果音だけでなく今、日本で行われているデモのコール(「安倍はやめろ!」等)や、「選挙は行かないです」「行っても何も変わらなさそうだし」「何もわかってないのに投票するのも気が引けるから」などといった、現代の若者の言葉も重ねられていました。

 舞台に向かって正面と上手に客席がしつらえられていて(L字客席)、上手客席が検察側、正面客席が裁判官側、舞台奥・上部に被告がいる設定でした。検察側から声が上がった時(実際は無人)に弁護団5人が一斉に上手側を見るのですが、5人のシンクロ率が高い!その場に居て反応する演技が共通言語になっているからでしょうね。こういうアンサンブルを味わえるとドキドキします。

 舞台下手から通訳、鵜沢、柳瀬、水越、末永の順で席についており、パラドックス定数版(水越、鵜沢、通訳、柳瀬、末永)とは違う配席だったのも、私にとっては良かったです。

【作】野木萌葱(パラドックス定数)
【演出・出演】
岩男海史(末永令甫役・飢えた弁護士)
高倉直人(星之宮衛約・通訳)
田村将一(柳瀬秋午役・8/6に広島で被曝した弁護士)
永田涼(水越英世役・父が被告)
中西良介(鵜沢聡明役・冷静な弁護士)
(以上 新国立劇場演劇研修所10期生)
演出補佐・制作:塚瀬香名子 制作協力:田村彩絵 角田萌果 宣伝美術:中西良介
無料・要予約
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予約フォーム:https://goo.gl/zLQpXo
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※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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