本多劇場グループPRESENTS「DISTANCE/小沢道成出演『夢のあと』」06/02 Streaming+でライブ配信

 「DISTANCE」とは川尻恵太さんと三笠ノ忠次さんが企画・脚本・演出を手掛ける、本多劇場での「一人芝居の無観客生配信」公演です。日替わり上演の一人芝居が、イープラスの「Streaming+」で有料ライブ配信されます。前売り2500円で、初日のみ3本立てのため3500円。

 6/1~7の公演期間のうち、小沢道成さん目当てで6/2(火)20:00開演の『夢のあと』を拝見しました。上演時間は約45分弱。本編の前後にプロローグ、エピローグ的な二人芝居あり。

≪あらすじ≫
 本多劇場ロビーの売店で働く60代の田中夢子(小沢道成)が、舞台上でインタビューを受ける。たわいない昔話を始めて…。
≪ここまで≫

 一番初めに、本多劇場のエントランスから受付、劇場入口へと進む動線を見せてくださいました。フェイスシールドをつけたスタッフさん、二度つける消毒液、ガランとしたロビー。劇場に入って客席を選ぶのも観客目線になっていて、本多劇場での観劇の疑似体験をさせてくださいました。

 劇場での演劇が始まった…と感じた瞬間がありました。とても久しぶり…。心が憶えていました。

 ここからネタバレします。

 舞台上には脚立や椅子などが積み上げられています。劇場の備品でしょうか。本編の前(と後)には作業着姿の2人の男性清掃員(川尻恵太、三笠ノ忠次)が登場し、「演劇とは…」などと会話します。川尻さんと三笠ノさんは7日間、生出演なのかしら。

 本編『夢のあと』は『夢ぞろぞろ』の続編となる新作でした。小沢さんがプロデュース、出演してきた一人芝居(⇒12)と同様に、小沢さんは舞台上のラジカセを相手に演技をします。男性インタビュアーの声はラジカセから聞こえますが、彼は客席にいる設定です。

 劇場の売子になる前、夢子は駅のホームの真ん中にある売店に勤めていました。ホームに居合わせた見知らぬ人々のエピソードを披露する際、夢子はピンク色の養生テープを床に貼って四角いスペースを作ります。倉庫のように見えていた空間が変化し始めました。音楽が鳴って、照明がカラフルに輝き出すのは、劇中劇が始まる合図。あぁ…これは…劇場で観る演劇だ…!ふわぁぁああ!!

 ホームで倒れた女性を見知らぬ3人が助けて、偶然、全員がポカリスエットを差し出した…。それだけの出来事ですが、夢子にとっては忘れられない思い出なんですね。売店は既に撤去され、床に残った四角い枠の跡の真ん中には、雑草が寂しげに生えています。何もないのだけれど、人間の記憶はありありとよみがえります。その記憶を人(夢子)が他者(私)に伝え、共有する時間は演劇そのものですね。ずっと閉じていた劇場の過去の記憶(上演)とも重なりました。

 エンディング映像でポスターが全く貼られていない本多劇場の壁が映し出され、画面の前で「はあぁ…」と声を出してしまいました。辛い。
 順番はプロローグ→本編→エピローグ→エンディング映像→カーテンコール→クレジットだったでしょうか。カーテンコールがあって本当によかった…。画面の前で拍手しました。

↓2020/06/08加筆

6/2(火)20:00開演
脚本・演出・出演:小沢道成
音楽:オレノグラフィティ

企画・脚本・演出:川尻恵太、三笠ノ忠次
舞台監督:寅川英司
照明:大波多秀起(デイライト)
音響:藤森直樹(サウンドバスターズ)
舞台美術&宣伝美術:魚住和伸
演出助手:伊達紀行
映像:ワタナベカズキ
衣裳:ヨシダミホ
ヘアメイク:武部千里
制作:高橋戦車
協力:ニッポン放送
主催:本多劇場グループ/DISTANCE製作委員会

前売当日 2,500円(税込)
※6/1のみ初日記念3,500円(税込)、3作品連続上演(90分を予定)
※5/27(水)12:00よりe+にて発売開始
※上演時間は35~45分を予定。
http://distance.mystrikingly.com/
Streaming+視聴者ご利用ガイド→ https://eplus.jp/streamingplus-userguide/

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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