【転載】松江哲明監督の映画「童貞。をプロデュース」におけるパワハラ、セクハラについて

 松江哲明監督の映画「童貞。をプロデュース」におけるパワハラ、セクハラについてのアーティストの発言を以下に転載します。

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●ヤン・ヨンヒさん

② 私は「童貞。をプロデュース」は未見。2年前のシネマ・ロサ ”事件” を知り、加賀氏の投稿などを読み驚き、SPOTTED PRODUCTIONSが発表した文には懐疑心を抱いた。21年前に私が韓国のドキュメンタリー監督と著作権他の問題で釜山映画祭も巻き込み“揉めた”件と共通点があるかも、とも思った。

③ その後も韓国の監督が「ヤンとは全て合意していた」と嘘の発表をしたことなど、21年前にあった詳細を思い出す日が続いた。長く蓋をしていた記憶が吹き出し体調を崩し仕事にも差し障るほど寝込んだ。夫に「この件は暫く考えない方がいい」とアドバイスされ、母の介護と新作ドキュの撮影に集中した。

④ 数日前に藤本洋輔氏の記事(ガジェット通信)をソウルの編集室で読んだ。丁寧な記事だと感心しつつも内容の詳細に触れながら心臓のバクバクが止まらなかった。2年前の自分が何故体調を壊したのか、その理由が解かり始めた。今改めて松江・加賀氏についてと、自分の過去の経験について考えている。

⑤ 21年前に韓国の監督(Aとする。ちなみに女性。)と著作権他で揉めた件、それとは別に過去に自分が受けた性暴力体験も思い起こされた。自分は前に進むために必死に記憶を遠ざけてきたんだと自覚した。

⑥ 加賀氏の問題提起について、10年以上も昔の話を今更、という人もいるだろう。でも当事者は、心の奥に刺さったままの棘を取り除けない理由について考え続け、成長する過程で深く気付いていく。時間の経過と共に記憶が曖昧になるどころか、時間が経つほど問題の本質が見え益々辛くなったりもする。

⑦ それを言葉にし、改めて相手と向き合えるようになるには時間がかかる。人の記憶なので思い込みがあるかも知れない。でも辛い記憶を消そうと努める長い月日の中で、爆弾がおちるように強烈に当時の状況と自分の感情を思い起こしたりもする。少なくとも私はそうだ。加賀氏の心の中はわからないが。

⑧ 松江氏にも言い分はあると思う。でも監督だけではなく映画を語り評する仕事までしている松江氏なら、映画への誠意を見せて欲しい。開き直りなのか、皆がそうだったのになんで俺だけ?と腹を立てているのか、うまく切り抜ける方法を模索しているのか、反省し過ぎて悩み過ぎて言葉が出ないのか.

⑨「時間が欲しい」ならそう言えばいい。加賀氏からの勇気ある問題提起に対してアレが答だとするなら「ドキュメンタリーは暴力だ」と矛盾しすぎる。殴るなら殴り返される覚悟が必要なように、相手に“晒す”覚悟を求めたなら自分も ”脱ぐ” 覚悟で向き合ってこそフェアだろう。

⑩ 撮影過程で、公開に関して、加賀氏の「嫌だ!」が無視されたのは見過ごせない。記憶と記録(映像)を辿ると解釈の違いが出てくるだろうが「強引に押し切った」部分について丁寧に検証されるべきだと思う。また、加賀氏が要求する「公開の場での話し合い」の意義も私なりに見解がある。

⑪ 21年前の私も監督Aに「公開の場での話し合い」を要求した。相手に対しての信頼が完全に無くなっているので、“密室”ではなく第三者の証人がいるところで「対等に」お互いの主張と向き合いたかったのだと思う。別の理由は、(交通整理役も必要だと思うが)

⑫ 両者にとってドキュメンタリーとは?が浮き彫りになり、参加者たちは(呆れながらも)考え学べるかもしれないと思った。とてもカッコ悪いが、一のケーススタディとして自分たちを晒すことで、小さな教訓を提示できるのではないか、とも考えていた。(監督Aは拒絶したまま。)

⑬とりとめなく書いてしまって読み返すとメチャ恥ずかしいのだが、自分にも突きつけられている問題だと思っている。だからドキュメンタリー(だけではないが)の命綱となる<信頼関係>を築くために努めている。出来る限り誠意を尽くしても、それでも人を傷つけることが起こり得ると自覚するからだ。

⑭ 撮影現場でのヤラセ強要が問題だが、米・英・豪などの映画・ドラマの撮影スタジオや演劇の稽古場では<親密>なシーン(セックス、レイプも含む)をどこまで相手を尊重し合意を確かめながら創り出せるかという取り組みも進んでいる。NYTなどで何度も取り上げられているが参考にすべきだろう。

⑮ 韓国の映画振興委員会(KOFIC)には制作過程で起きたトラブルや悩みを相談出来る窓口があり、チームへの#Meetoo教育も義務化されている。海外とは条件が〜!と言い訳したり、暴力や狂気を懐かしんでる暇はない。自分の現場で小さな実践を重ねることがスタートだと思う。

⑯ 経験の浅い新米のぺーぺー監督が長々と書き過ぎた。現在ソウル郊外の編集室に泊まり込んでいる状況なので、反論や質問を頂いても返信は殆どしないと思いまっす。

最後に。今回の件で「韓国人がー、在日がー」とか言ってるアホは脳味噌を消毒せよ。

貫徹してしまった。Nighty night.
(転載終了)

↓ヤン・ヨンヒ監督の「かぞくのくに」で70年代の“帰国事業”について学びました。

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■深田晃司さん

■江本純子さん

■相田和弘さんと加賀賢三さん(当事者)

■「松江哲明監督らが謝罪」(2019年12月24日の東スポ記事)

 ↓2020/01/22加筆(裁判になるようです)

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