レッドトーチ・シアター『三人姉妹』10/18-10/20東京芸術劇場プレイハウス

 メルマガ10月号でお薦めNo.1としてご紹介してていた作品です。“東京芸術祭”参加作品で、東京芸術劇場の「芸劇オータムセレクション」の公演です。約4時間15分(255分)、途中休憩あり。休憩は1幕ごとに3回ありました。助かりました。

 【記録】伊達なつめさんによる「ウィーン芸術週間・Timofey Kulyabin演出『三人姉妹』」評(2016年5月)

 ※このレビューは2019/12/31に公開しました。

≪作品概要≫ https://www.geigeki.jp/performance/theater221/
東京芸術劇場では東京芸術祭2019参加「芸劇オータムセレクション」作品として、ロシア・ノヴォシビルスクのレッドトーチ・シアターによる『三人姉妹』を上演します。ティモフェイ・クリャービン演出によるこの『三人姉妹』は、全編が手話(*ロシア手話)で演じられ、本国はじめヨーロッパ各国の芸術祭で大きな話題となった作品です。登場人物たちは手話と身振り、表情で会話し、自然音や生活音、人間の息遣いやぶつかり合うノイズが舞台を弾ませ、俳優が演技として手話を用いる異色作ながら、芝居が進むにつれチェーホフが描いた人間ドラマの核心が際立っていきます。現代に通じる革新的な演出、フィジカルを極めた熱演を見せる俳優陣、知的な仕掛けに満ちた装置、照明、音響……チェーホフの戯曲の奥底に分け入り、その核心に迫る『三人姉妹』に、是非ご期待下さい。
≪ここまで≫

 ここからネタバレします。

 三幕の火事の場面で、何度も停電が起こる。非常時に人間はあっと驚く提案や発言、決心をしてしまうものだ。やけくそになることに頷ける。

 ソリョーヌイがイリーナに初めて愛の告白をする場面で、彼は彼女の顔をぶって、クローゼットのなかに閉じ込めた。相変わらず軍人の暴力は恐ろしい。私は大嫌いだ。

 トゥーゼンバフ男爵はイリーナを(自分から)解放してあげたいと思って決闘に挑んだのだと解釈できたのは初めて。

 「楽隊の音楽が聞こえる」と言い合う三人姉妹は、その音が本当に聞こえるようになったらしく、全身で奇跡が起こった喜びを表現する。しかし老いた軍医には聞こえていないようだ。やがて楽隊の音楽が鳴りやむが、彼女たちはまだ聞こえている演技をする。

 聾者が聴者になる奇跡が起こったのだとすると、茶番が過ぎる。でも彼女たちの妄想だったのだとわかると切なさが増す。むしろ、彼女たちだけに聞こえる音楽があり、それは聴者の私には決して聞こえないのだとも解釈可能で、私はその方がいいと思う。

■感想など

 ↓健常者の男性ならではのご感想ではないかと思いました。

東京芸術祭 芸劇オータムセレクション
*ロシア手話となります。ロシア語手話上演、日本語・英語字幕付

出演:イリーナ・クリヴォノス
ダリア・イェメリャノワ
リンダ・アフメジャノワ
ほか
作:アントン・チェーホフ
演出:ティモフェイ・クリャービン

主催:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京芸術祭実行委員会[豊島区、公益財団法人としま未来文化財団、フェスティバル/トーキョー実行委員会、公益財団法人東京都歴史文化財団(東京芸術劇場・アーツカウンシル東京)]
助成:令和元年度 文化庁 国際文化芸術発信拠点形成事業(豊島区国際アート・カルチャー都市推進事業)
制作:インプレサリオ東京
協力:ロシア文化フェスティバル組織委員会

【発売日】2019/08/31
<全席指定>
一般:6,500円
65歳以上:5,000円
25歳以下:3,500円
高校生以下:1,000円
※未就学児はご入場いただけません。
https://tokyo-festival.jp/2019/
https://www.geigeki.jp/performance/theater221/

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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