斉藤直樹「戯曲を読む会(ハロルド・ピンター『誰もいない国』)」11/03都内某所

 9月に続き、斉藤直樹さんの「戯曲を読む会」に参加しました。取り上げたのは新国立劇場でもうすぐ上演される『誰もいない国』。最初から最後まで、計2回読みました(私は聴くだけです)。

 ※記録は2018/11/11に公開しました。

 NTLiveで拝見していたのに、1度目はさっぱり意味がわからず…(汗)。解説や感想をシェアした後で2度目を読んだら、うっすらと構造や意図がわかった気がしました。それでも謎だらけなのですが。

 戯曲は、セリフの見た目から読み取れる表面的な意味だけで成り立っているわけではありません。独白、会話などとト書きとの組み合わせから、意味や論理以外にも何かが立ち上がります。人間の行動と言葉、空間、時間など、多くの要素が複雑に関係し合っているんですね。

 空気、匂い、色、早さや遅さなども感じ取れたり(読み手の主観に依りますが)、人間が認知している世界および、その世界の外側が示されたり…。いい戯曲は、やはり、いい!

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 ここからネタバレします。セリフなどは正確ではありません。

 ロンドン北西部はブルジョア階級が多く住む地域で、ハムステッド・ヒースはゲイの人たちが集まる場所として有名とのこと。

 オックスフォード在学中、および従軍時などの2人の“女性関係”はすべて嘘かもしれない。スプーナーに妻と2人の娘がいることも。

 NTLiveを見た時はスプーナーを主軸においた解釈をしていたのですが、実はハーストの話だったのだな…と考えを改めました。スプーナーの最後の提案(ハーストの朗読会を開催する)を、ハーストは「話題を変えよう、これを最後にして」と言って断ります。それが世間から隔離された“誰もいない国”(=死後の世界?)に行く、または留まることを決定づけたのだろうと思いました。神様から与えられた最後のチャンスを、自らふいにしたとも言えるでしょうか。人間は自分から閉じていき、死に近づいていくのだなと想像しました。

20181103_nomansland

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