project navakov『ヘッダ・ガーブレル』07/05-08 Vacant

 文学座の稲葉賀恵さんが『ヘッダ・ガーブレル』を演出。初日に拝見しました。

 10月に新国立劇場で上演される『誤解』のチラシ、フォントもイラストもデザインもめちゃくちゃかっこいい!

≪あらすじ≫ 当日パンフレットより
「この世の中で、私に向いているのは一つのことっきりなの――退屈するほど、死ぬほどね。」

故ガーブレル将軍の娘ヘッダは、常に退屈である。自由を愛する彼女は、凡庸な研究者テスマンとの新婚生活に早くも窮屈を感じ、自分を取り巻く人々の充実した生活を軽蔑しながらも強く嫉妬する。そこへ、テスマンの学友で才気あふれる自堕落な男レェーヴボルクが訪れる。再会をきっかけに急速に絡み合うそれぞれの愛、憎しみ、野心、渇望ーー。それぞれの本性が剥き出しにになった時、物語は予想外の結末へと向かっていく。はたしてこれは、悲劇なのか? 喜劇なのか?
≪ここまで≫

 劇場はおしゃれなギャラリーのような広々とした空間。客席はL字型に演技スペースを囲みます。舞台中央奥は下へ降りる階段があり、下手の壁上部には陽の光が入る(想定の)窓があります。

 登場人物の造形を座組み内でしっかりと作り上げ、共有している印象を受けました。今作を観て「『ヘッダ・ガーブレル(=ヘッダ・ガブラー)』ってこんなお話なのね」と解釈しても問題ないのではないかと。原作に忠実で、深いところまで緻密に表現してくれているお芝居だと思います。俳優の演技の賜物でもありますね。

 ここからネタバレします。

 ヘッダの父、ガーブレル将軍の上半身が描かれた肖像画が、舞台中央奥の壁のど真ん中にかかっている。ヘッダは父のようになりたかったのだな…と受け取った。ヘアスタイルも少年のようなショートカットだったので、彼女は女性としてではなく男性として、軍人として生きたかったのだろうと容易に想像できた。銃に執着するのもよくわかる。

 冒頭の、テスマンのおばと女中の会話に見事な説得力があって、芝居の初めから胸躍った。おばの人となりが全身で表現されていた。セリフの速さ、声の大小、誰に向かってどんな気持ちで言葉を投げかけるのか等、演技の選択がしっかりと成されている。
 女中は、目下の者として身分をわきまえる従順さが徹底されており、周囲との身分の差も、生まれ育ちも、これまでの働きぶりも想像できた。

 前半はヘッダが何を望んでいるのか、何を嫌がっているのか、わからなかった。腹の底から声が出ておらず、体の動きも浮わついている印象。後半は少年らしさ、幼さゆえの潔さなどが感じ取れた。
 テスマンは凡庸で素直なおぼっちゃんの愛らしさ、罪深さがとてもよく伝わる。ヘッダの愛(嘘だけど)を受け取った時の浮かれっぷりには大いに笑わせてもらった。ただ、ずっと目が冷静だったのは気にかかった。本気で無邪気になって欲しい。
 ブラック判事はもっと匂い立つような、嫌な感じのエロスが欲しかった。ヘッダの体を欲しているが、実際には求めない…(彼女の方から差し出すのをじっと待つ)というような。

 エルヴステード夫人がとても素晴らしい。退路を断った女性の勇気、切羽詰まった行動の破れかぶれ感が物語をスリリングにしてくれた。
 レェーヴボルクも登場するなり「こういう人、いるいる!」と頷けるリアリティーがあった。慌てる姿も、それを取り繕う姿も、笑いを誘う。

vol.1
【出演】ヘッダ:藤﨑あかね、テスマン:内藤栄一、レェーヴボルク:萩原亮介、エルヴステード夫人:長尾純子、テスマンのおば:金沢映子、女中:多田慶子、ブラック判事:斉藤直樹
脚本:ヘンリック・イプセン 訳:千代海 演出:稲葉賀恵
美術:角浜有香 照明:中山奈美 舞台監督:鐘築隼 音響協力:丸田裕也 宣伝美術:原地英樹 宣伝写真:田口るり子
【発売日】2018/05/10
前売・当日共:3,000円 (+1drink 500円)
https://www.project-navakov.com/hedda
http://stage.corich.jp/stage/92019

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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