文学座『鳩に水をやる』12/07-21文学座アトリエ

 ノゾエ征爾さんが文学座アトリエ公演に新作を書下ろし、今回が文学座での演出デビューとなる生田みゆきさんが演出されます。上演時間は約2時間10分、休憩なし。

 今回も思ったんですが、文学座アトリエ公演の客層は老若男女で盛況ですよね。出演者も老若男女が揃っているからかもしれませんが、一観客としていい感じだなあと思います。アウェイ感が少ない上に、一個人で居やすい気がします。

 終演後のトークでは外山誠二さんがギター演奏をずっと続けてくださいました。相川春樹さんはトナカイ、増岡裕子さんはサンタの格好で登場。文学座の俳優さんは観客サービスが凄いですね。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
仏が、飛んだ。仏は、もちろん死ぬつもりで飛び降りたわけだけど、飛び降りた直後から命が惜しくなった。言い知れない後悔と恐怖にかられていたが、あまりに地面が遠いので、今度は早く地面につかないかと待ちわびだす。(台本より)

年老いた童話作家の男と、突然訪ねてきた若い女。
海辺のマンションに配達にきた男と、ドアに背をあて神妙に立つ女。
瀬戸際に立たされた男と女。

一秒、一日、一年・・・。
さまざまな時間と記憶の中で繰り広げられる、おちゆく人々のおちないものがたり。

夢と現実の間をさまよいながらも、そこに「実在」するものは何なのか――。
ノゾエ征爾が描く、『夢十夜』ならぬ『やや夢夜』。
 ≪ここまで≫

 対面式客席でほぼ何もない空間に、道具をじゃんじゃか持ち込んで展開していきます。天井から吊り下がった2枚のパネルには映像が映されます。チラシのビジュアルをもとにした動画でした。

 とても面白い戯曲でしたが、その世界が劇場に満ちている…とまでは感じなかったですね。俳優がそれぞれの役を演じ、がんばってタスクをこなしている印象でした。

 ドアの大きさの枠を移動させて空間を変容させ、“何でもアリ”な空気になっていたのが良かったです。演出の生田さんは座員になって2年目なんですね。来年4月にデーア・ローアー作『最後の炎』を演出するとのこと。ドイツ滞在をされていたそうなので期待したいと思います。

 ここからネタバレします。

 3組の男女のエピソードが交互に上演されていき、やがて老作家(外山誠二)を中心に集約されていきます。崖っぷちの男女は彼が書いた物語の登場人物(?)で、マンションのドアと格闘する配達員は若き日の作家という具合に。“家族”も“過去”も“現在”も、“物語”と同様に幻想に過ぎないという感覚は、私自身も常に心にとどめておきたいなと思っています。

文学座80周年記念
【出演】
老人(作家):外山誠二
介護士(作家の娘を名乗り、彼を介護する):宝意紗友莉 ※初舞台だそうです。

崖っぷちの男(音楽家/1分後に犬に食い殺されることが決まっている):上川路啓志、
崖っぷちの女(歌手?/音楽家を雇う):塩田朋子

配達員(若き日の作家):相川春樹
ドアを押す女(配達員とペア):増岡裕子

複数役(医師、編集者、神父など):林田一高

脚本:ノゾエ征爾
演出:生田みゆき
美術/乘峯雅寛
照明/阪口美和
音響/藤平美保子
衣裳/宮本宣子
振付/下司尚実
映像/松澤延拓
舞台監督/加瀬幸恵
制作/佐藤竜太郎 鈴木美幸
制作補/後藤久美子
イラストとデザイン/西村夕貴
【発売日】2017/11/01
前売 4,300円
当日 4,600円
ユースチケット 2,500円
※電話予約 0120-481034(10:00-17:30/日・祝除く)
※当日券は開演の3時間前より、03-3353-3566(文学座当日券申込専用)でご予約を承ります。
※ユースチケットは25歳以下の方対象・取り扱いは文学座のみ。観劇当日、年齢確認できる証明書等をご持参ください。
※お問い合わせ 文学座03-3351-7264(10:00-18:00/日・祝除く)
http://www.bungakuza.com/hato/index.html
http://stage.corich.jp/stage/87369

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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