CHAiroiPLIN『踊る戯曲IV「BALLO~ロミオとジュリエット~」』12/02-03東京グローブ座

 スズキ拓朗さんが振付・構成・演出されるコンテンポラリー・ダンス・カンパニーCHAiroiPLIN(チャイロイプリン)の新作です。上演時間は約2時間だったと思います。⇒オーデイション告知

 東京グローブ座での2日間、4ステージ(追加1公演含む)が早い時期に前売り完売になっていました。なんとチケット代が2017円!安すぎましたね(笑)。

 当日パンフレットのスズキさんの文章によると、『ロミオとジュリエット~』を皮切りに、シェイクスピアの全37戯曲をダンスで上演していくとのこと。

 大人数の群舞、大量の服、大がかりな装置移動などで東京グローブ座の大きな空間を埋めます。モンタギューは赤、キャピュレットは白という風に紅白で色分けし、2つの家の対立を運動会のようににぎにぎしく見せました。タブレットや手のひらに乗るぐらいの大きさの電飾(LEDのおもちゃ?)などを使う工夫も面白いです。
 
 前半でロザライン(鈴木みほ)とパリス(ぎたろー)を目立たせて、全体的にロミオ(スズキ拓朗)とジュリエット(エリザベス・マリー)の恋愛にフォーカスしていたように思います。

 ここからネタバレします。

 3階立てのイントレが2台あり、家財道具が入っていたり、人が入っていたり。イントレを上下(かみしも)、前後に移動させて、大がかりな場面転換が見られます。映像は白いシャツをつなげた大きな幕に映し出されました。客席通路も頻繁に使ってくれました。

 仮面舞踏会の仮面はタブレットで、キャピュレット家の人々の顔が映し出されていました。赤と白を交互に、点滅するように映すことも。大勢が顔面にタブレットを付けて踊るのは圧巻です。インターネットの匿名性を表しているのかなと想像しました。

 ロミオがジュリエットに出会った時、ロミオはピカピカと点滅する小さなLEDの電気をジュリエットに向かって投げます。「パス!」と言い合ってキャッチボールをするうちに恋が芽生える趣向でした。それぞれにイントレの一番上に上った2人は、ハート・マークが映し出されたタブレットを胸元で見せて、「ドク、ドク(心臓の鳴る音)」と言います。これが終盤の毒(ドク)につながるんですね。今回もダジャレが多くて良かったです。シェイクスピアですしね。

 終盤は死に別れてしまう2人それぞれのダンスが見られました。仮死状態になる薬を飲んだジュリエットは、42時間後に目覚まし時計をセットします。大量の服が舞台上に投げ込まれて、ジュリエットはその中に埋まります。ロミオが彼女を掘り出し、起こそうとしますが、断念して毒(ドク)を飲んで死亡。するとすぐに目覚まし時計が鳴ってジュリエットが目覚めます。ロミオが仮死状態のジュリエットと踊る間、00:00:00に向かって進むデジタルの時刻が白幕に映し出されていました。あれは目覚まし時計が鳴るまでの時間を示していたんですね。踊りの終わりと0時間になる瞬間がほぼ合っていたのは、稽古の賜物なのかしら~。

 個人的な好みですが、ヴェローナを追放されたロミオの悲嘆がもっと見たかったですね。神父の手紙が届かなかったエピソードも、滑稽に描けると思うので、あってほしかったな~と思います。スズキさんの演出の批評的側面がもっと観たかったかもしれません(あったのに読み取れなかったのかもしれませんが)。

出演:
メンバー:スズキ拓朗 池田ジントク エリザベス・マリー 清水ゆり ジョディ 田中美甫 増田ゆーこ 本山三火
ゲスト:柏木俊彦 香取直登 ぎたろー 鈴木みほ 鈴真紀史 鳥越勇作 新部聖子 NIWA 野坂弘 福島梓 
スペシャルゲスト:片桐はいり
アンサンブル:
青木萌 折浜かじき Kina 久保田美咲 佐川健之輔 酒匂雛子 髙下七海 多賀栞里 丹野武蔵 土井千影 中路わかな 西若菜 松本麻実 村岡哲至 森陽菜 田中博士 ニノ戸新太 藤井海成 橋本ロマンス
原作:W・シェイクスピア 振付・構成・演出:スズキ拓朗 音響/許斐祐 照明/長尾裕介 美術・映像/青山健一 衣装:竹内洋子 写真撮影/福井理文 映像撮影/たきしまひろよし 無台監督/筒井昭善 ドラマツルグ:本山三火 音楽:清水ゆり テキスト:やまもとなおき 制作助手/中井沙織 当日パンフレット:安田有吾 相関図作成:橋本ロマンス 宣伝美術:柳沼博雅(GOAT) Web制作/青木崇 プロデューサー/勝山康晴 制作協力:ロックスター有限会社 主催・制作:CHAiroiPLIN
【発売日】2017/08/05
<全席指定>2,017円(税込)
http://www.chairoiplin.net/stages.html
http://stage.corich.jp/stage/85436

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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