(公財)可児市文化芸術振興財団ala Collectionシリーズvol.10『坂の上の家』11/03-10吉祥寺シアター

 岐阜県の可児市文化創造センターによるala Collectionシリーズの第10弾。松田正隆さんの1990年代の戯曲を、高橋正徳さんが演出されます。

≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
失くした先に あたらしい人生がある
家族の絆と人と人の縁を描く 静かな傑作

その家には、若い三兄妹が暮らしている。
1982年7月23日、長崎大水害。多くの犠牲者を出したこの災害で両親を亡くした時、
遺された彼らはまだ幼く、父と母を失った家で助け合って育ってきた。

あれから五年―。
社会人になった長兄、予備校生の次兄、高校生の妹の三人は、今も坂の上の家で一緒に暮らしている。
夏の初め、長兄が恋人を連れてくることになった。
もうじき、またあの日が、両親の命日が巡ってくる…。

日常の活き活きとした情景の中に、家族の関わりや愛情、人と人の絆や葛藤を丁寧に描き、OMS戯曲賞・大賞を受賞した松田正隆の傑作戯曲。
人は人と関わり合うことで、喪失の向こうの再生を手にしてゆく。
生きてゆく手がかりを伝える温かな作品に、実力派のキャスト、スタッフが取り組みます。

髙瀬久男氏に捧ぐ

演出家・髙瀬久男氏は2015年に57歳で逝去されました。
松田正隆氏の戯曲を数多く演出した、生前の功績を称え本作品を髙瀬氏に捧げます。
≪ここまで≫

 松田さんの戯曲はご本人の他、宮田慶子さん、鈴木裕美さん、平田オリザさん、森新太郎さんの演出で拝見したことがあります。高橋さんは人情喜劇風にされたようです。私が観たい種類の芝居の空気が立ち上がったのは、終盤になってからでした。昭和の家庭劇が「サザエさん」のような時代錯誤に陥らないためには、どうすればいいのでしょうね。SPAC『高き彼物』は美術を能舞台にして、過去の出来事であることが伝わる抽象的な場面を加えていました。

 ここからネタバレします。

 5年前に長崎大水害で両親を亡くした三兄妹が、原爆症を発症したのか、貧血で入院した女性と家族になろうとします。弱者が弱者を救う話だと受け止めました。観客の私自身が試されますね。
 妹役の造形が類型的女性像に見えて残念でした。
 畳の部屋の下の部分が照明で光って、精霊流しを表現するアイデアが良かったです。

ala Collectionシリーズvol.10
≪可児、東京、長野、長岡、小野、筑後、舞鶴≫
出演:亀田佳明、鈴木陽丈、石丸椎菜、大野香織、陰山泰
脚本:松田正隆
演出:高橋正徳
美術:乘峯雅寛(文学座)
照明:阪口美和(文学座)
音響:原島正治
衣装:宮本宣子
方言指導:大竹周作
演出助手:五戸真理枝(文学座)
舞台監督:三上司
宣伝美術:市川きよあき事務所
イラスト:吉實恵
制作:清水佑香子、澤村潤、馬場順子
プロダクションマネージャー:村松明彦
プロデューサー:衛紀生
【発売日】2017/09/02
(全席指定・税込)5,000円
アルテ友の会会員4,500円(武蔵野文化事業団にて前売券のみ取扱い)
学生券2,500円(事前予約・当日受付精算のみ)
※学生券は10月21日よりWEB予約受付、限定枚数。
(当日、会場受付にて学生証をご提示ください。)
※開場は開演の30分前
※未就学児の入場はご遠慮ください。
http://www.kpac.or.jp/collection10/index.html
http://stage.corich.jp/stage/86908

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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