ナショナル・シアター・ライヴ2017「一人の男と二人の主人 One Man, Two Guvnors」11/10-16 TOHOシネマズ日本橋

 2014年から欠かさず拝見しているナショナル・シアター・ライヴ、2017年の6作目です。18世紀のイタリア古典劇であるカルロ・ゴルドーニ作『二人の主人を一度にもつと』を、1963年のイギリス・ブライトンを舞台に翻案した、2011年ロンドン初演作。主演のジェイムズ・コーデンさんは2012年に同作で米国トニー賞の主演男優賞を受賞されました。

≪作品紹介・あらすじ≫ 公式サイトより
1960年、イギリス南東部の街。主人公フランシスは地元のギャング ロスコ―と、悪名高い犯罪者スタンリーの二人に雇われているが、その事実を主人たちは知らない。二人が鉢合わせしないように右往左往するフランシスだが――。伊の作家カルロ・ゴルドーニの戯曲がもとの抱腹絶倒のドタバタ・コメディー。2011年初演で大好評を博し、ウエストエンドでロングランを記録。ブロードウェイでは、2012年のトニー賞7部門(主演男優賞・助演男優賞〈トム・エデン〉・演出賞・楽曲賞・装置デザイン賞・衣裳デザイン賞・音響デザイン賞)で候補に。ジェイムズ・コーデンが見事最優秀主演男優賞を獲得した。
≪ここまで≫

 NTLive「ハムレット」(ロリー・キニア主演)と「オセロ」、「ハード・プロブレム」もハイトナーさんの演出です。こんな「笑う以外に何もない、頭が空っぽの芝居」(パンフレットより、御本人談)も…幅広い…凄すぎる…。

 ここからネタバレします。

 物語はコメディア・デラルテ(即興喜劇)の原作に忠実とのこと。休憩時間は舞台裏に潜入して演出家のハイトナーさんにインタビューし、出演者の楽屋へ。がっちり作り込まれてました(笑)。

 生バンドの演奏から始まり、場面転換ごとに幕が下りて、また生バンドの演奏が始まるという構成。徐々に出演者が音楽演奏に加わっていき、最後は全員で踊って歌います。懐かしい音楽はスキッフルというジャンルで、この作品のためのオリジナル(音楽:グラント・オールディング)のようです。バンドマン4人は初期のビートルズのようなスーツ姿です。劇中のセリフにビートルズが出てくるからでしょうか。歌詞も物語に沿ったものになっていて、周到な演出ですね。

 客いじりが巧くて、激しくて(笑)、なんと女性客の顔と体に白いクリーム(?)を大量に吹き付けちゃった!…と思ったら、彼女はサクラでした(休憩時間に楽屋にいて、カーテンコールにも登場)。劇場の外の広場で野外ライブ・ビューイングが行われていたのと、ナショナル・シアター・ライヴ撮影用の仕込みだったのかしら。大サービス!

“One Man, Two Guvnors” by Richard Bean
プレビュー:2011年5月17日~23日
上演:2011年5月24日~9月19日
劇場:ナショナルシアター・リトルトン(ロンドン)
上映時間:約195分
出演
ドリー(クレンチの会社の会計係、フランシスと恋仲に):スージー・トース
ロイド・ボーデン:トレヴァー・レアード
アヒルのチャーリー・クレンチ(娘ポーリーンの結婚をまとめたい、悪党):フレッド・リッジウェイ
ポーリーン・クレンチ(俳優アランを愛している):クレア・ラムス
ハリー・ダングル(俳優の父、弁護士):マーティン・エリス
アラン・ダングル(俳優、ポーリーンの恋人):ダニエル・リグビィ
フランシス・ヘンシャル(主人公、レイチェルとスタンリーに仕える):ジェイムズ・コーデン
レイチェル・クラップ(双子の兄に変装):ジェマイマ・ルーパー
スタンリー・スタッパース(レイチェルの恋人で、彼女の兄を殺害):オリヴァー・クリス ※ローレンス・オリヴィエ賞・助演男優賞にノミネート
ギャレス:デイヴィッド・ベンソン
アルフィー(87歳の新人給仕):トム・エッデン ※トニー賞・助演男優賞にノミネート
アンサンブル:ポリー・コヌェイ、ジョリオン・ディクソン、デレク・エルロイ、ポール・ランカスター、ファーガス・マーチ、ギャレス・メイソン、クレア・トムソン
作:リチャード・ビーン(『グレイト・ブリテン』)
演出:ニコラス・ハイトナー(『ヒストリーボーイズ』)
演出補:カル・マクリスタル
美術:マーク・トンプソン
照明:マーク・ヘンダーソン
音楽:グラント・オールディング
音響:ポール・アルディッティ
殺陣:ケイト・ウォーターズ
振付:アダム・ペンフォード
ボイス・コーチ:ケイト・ゴッドフリー
料金:一般3,000円 学生2,500円
http://www.ntlive.jp/onemantwoguvnors.html
http://ntlive.nationaltheatre.org.uk/productions/17222-one-man-two-guvnors

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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