チーム夜営『衛星の兄弟』08/11-13のげシャーレ

衛星の兄弟
衛星の兄弟

 ⇒CoRich舞台芸術!『衛星の兄弟

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
“ 猛烈な槍の雨。所により、衛星。”

未来。
「神の杖」と名付けられた3機の人工衛星が地上から打ち上げられた。
彼らは仲の良い兄弟で、宇宙の誰よりも勤勉で、
長い長い大戦を終わらせるための最終兵器だった。

打ち上げから5年間。兄弟たちは休むことなく働き続けた。
彼らが飛ばした無数の鎗が地形を変えて、国や人を分断させた。
時が過ぎると、人間たちは地図を塗り替える根気も失い、
兄弟たちへ通信を送ることをやめてしまった。
そんなある日、仕事を失い暇を持て余した兄弟たちの元へ、
「胡蝶」と名のる中国の小型気象衛星がやってくる。
 ≪ここまで≫

 進化した人工知能同士の会話で物語は進みます。最新鋭の殺りく兵器たちの無邪気さは、どこまでが内臓されたプログラムで、どこからが彼ら自身の「意志」なのか。

 ここからネタバレします。

 連合軍と革命軍との25年に渡る戦争において、連合軍は宇宙から“槍”を落として都市を破壊する衛星を開発。一発で都市が丸ごと消滅し、400万人を殺傷。漫画「AKIRA」の「SOL」のイメージとのこと(わかりやすい!)。

 人工知能(AI)が搭載された3つの衛星は、兄、妹マイア、弟エルメスの3兄弟。兄の名前が終盤で「ゼウス」と明かされるのがいいですね。

 衛星の寿命が見える兄は妹と弟の行動(弟は大気圏に突入し消滅、妹は軌道を離れデブリに衝突して爆発)は予定どおりだったと、中国の小型気象衛星「胡蝶」に言います。「胡蝶」は古い衛星であると装っていましたが、実は革命軍側が打ち上げた偵察衛星でした。3兄弟の末路を見届けるのが彼のミッション。

 舞台奥の壁一面と、舞台中央にある丸いテーブルがスクリーンになり、映像が映されます。ハイセンス。中央と左右に設置された3兄弟用のイスもシャープなデザインでかっこ良かったです。弟が地球や地上の地図が映写されたテーブルを的にして、ダーツを投げます。そのダーツが武器の“槍”であるという…おもちゃのような手軽さが、最新兵器の実情をよく表していると思います。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演(左から)山﨑健太(演劇研究・批評)、小林弘樹(演出)、大竹竜平(脚本)

 チーム夜営は2014年に旗揚げ。小林さんと大竹さんは20歳の時に出会って、8年のご縁になるそうです。

 ・『XとYの事情』は数学がテーマ。『タイトルはご自由に。』はAIと脳がテーマで、宇宙船に脳みそがいっぱい入ってる話。
 ・今回のテーマは思考実験。「中国語の部屋」。
 ・落語「死神」がモチーフ。のげシャーレだし。
 ・同じ場所でやりたくないので、次はまた違う会場になると思う。

vol.4
≪出演≫ゼウス:馬場太史(俳優座) マイア:萩原優奈 エルメス:高澤聡美 胡蝶:小林弘樹
演出:小林弘樹 脚本:大竹竜平
舞台美術=小林峻也
音楽・音響=熊谷秀哉
照明=竹元楓
映像=内田圭、いしいこうた
衣装=生田志織
イラストレーション=寺本愛
宣伝美術=大竹竜平
舞台監督=湯浅美穂里
制作=灰原千晶
中国語翻訳、声の出演:奥家偉民
英語翻訳:内田有 
声の出演:Parker Biehn
椅子制作:北川陽史
スペシャルサンクス:兵藤芽衣、武蔵野美術大学
前売一般2300円
前売学生1800円
当日(一般・学生)2500円
8月11日20:00公演は、ゲストに山﨑健太さんをお招きしてのアフタートーク、
8月12日20:00公演は、チーム夜営メンバーによるアフタートークを開催します。
公演と合わせてぜひお楽しみください。
★8月11日(木・祝) 20:00公演
トークゲスト:山﨑健太(演劇研究・批評) 登壇:大竹竜平(脚本)・小林弘樹(演出)
山﨑健太 プロフィール:SFマガジンで「現代日本演劇のSF的諸相」連載中。早稲田大学文学研究科表象・メディア論コース博士課程。
★8月12日(金) 20:00公演
小林弘樹(演出)+小林峻也(舞台美術)+内田圭(映像)
http://team-yaei.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています(順不同)。間違っている可能性があります。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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